平凡なオレは、成長チート【残機無限】を授かってダンジョン最強に! でも美少女なのだがニート気味の幼馴染みに、将来性目当てで言い寄られて困る……
第52話 オレの理性的にかなりクることは間違いなさそうだなぁ……
第52話 オレの理性的にかなりクることは間違いなさそうだなぁ……
結局、ダンジョン調査はめぼしい発見も出来ずに空振りとなった。
だが収穫ゼロというわけでもなく、多頭雷龍が落ちてきた大穴は、上三階層で塞がっていたことが分かっただけでも儲けものだった。それと、魔獣達の出現率が下がっていることもよかった。
ということでミュラは、ダンジョンの立入制限を段階的に解除することにした。いつまでも制限していたら、気づけば魔獣が溢れかえって、取り返しの付かない状態になりかねないからな。
そんなわけでオレは、レニとレベッカに顔見せもしてホッとされてから自宅に戻る。
そしてその夜、オレは自室の机に向かっていた。
(いざというときのために、安楽死できる魔法を開発しておかないとだが……)
大変に後ろ向きな考えではあるのだが、オレにとっては非常に前向きなのだから仕方がない。
本体が参戦する場合、残機から魔力補填を受け続ければ、永久機関のように魔法を発現できることは分かった。だが本体が瀕死になって行動不能に陥る場合もありうるわけで、そうなると身体生成が使えなくなる。
上層魔獣に対して物量一点張りのオレでは、身体生成ナシでは負けてしまうだろう。
だから瀕死になった場合、速やかに本体を
だが魔法ラインナップに、安楽死できるようなものはない。攻撃・防御・回復が魔法の機能だから、ラクに静かに、眠るように亡くなる方法なんてあるはずがないのだ。もっぱらの戦闘相手である魔獣に、そんな情けを掛ける義理もなければ、戦闘中にそんな暇もないしな。
(そもそもオレ、レベルが上がりすぎてラクに死ねないしなぁ……)
魔力は、自然と身体強化もなされるから、高レベルになるほどに体も頑丈になる。地球の武器で例えるなら、ちょっとした銃弾くらいなら、手のひらとかでパチンと
そんな身体だから、毒・病気・麻痺などのステイタス異常にもめっぽう強い。そもそも毒なんかで死のうとしたら苦しいだけだし。
(う〜〜〜ん……となるとあとは、強力な攻撃魔法を自分に浴びせるしかないか?)
しかしそれだと周囲を巻き込みかねないし、そもそも、強力な魔法を発現できないほどに瀕死という状況もあり得る。そうしたらもう最悪だ。
(瀕死になったら、残機たちに本体を敵に向かって投げてもらうとか……いや投げるというより魔法で打ち出してもらうか。そのくらいなら残機にも出来そうだが……)
まるで特攻隊みたいで嫌だなぁ……と考えたところで、オレはふと思いつく。
「特攻隊……あ、そうか!」
オレは、そのナイスなアイディア(なのか?)に、思わず声を出していた。
特攻隊というのは、とどのつまり自爆のことだ。
そして自爆なら、攻撃魔法を応用することで可能だろう。魔獣にも、自爆魔法を使ってくるヤツがいたしな。
そして魔力残量が少なかったとしても、自身の体内で魔力を暴走させれば、少量でも自爆することは可能だ。もちろん自爆しないよう、学校では徹底的に訓練するわけだが、その訓練の逆をやればいい。
あとは、自爆する際の威力なんかを調整してやればいいだろう。まぁ……レベル64にもなると、内臓やら血管やらまで強化されているかもしれないので実験は必要だが……
(自爆魔法の実験って……さすがに後味悪すぎるが……)
もちろん実験には残機を使うしかない。となるとつまり、実験の度に残機が失われていくわけで……いや残機は無限だから数の問題というわけではなく……オレの理性的にかなりクることは間違いなさそうだなぁ……
しかしまたぞろ上層魔獣に出くわして、オレが行動不能になったら、このフリストル市自体が落ちてしまうのだ。レニやレベッカは元より、多くの人の命が失われてしまう。
(仕方がない……他に妙案が思いつくまで、自爆魔法の実験を進めるか……)
ということでオレはため息をついてから、紙にペンを走らせ、魔法の理論構造を書いていくのだった。
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