俺だけのダンジョン機能で世界最強~スローライフがしたいダンマスは、世界を平和にしてしまうようです~

瑞沢ゆう

第1話「ダンジョンマスターに就任」

 どうやって死んだかは覚えていない。


 名前は覚えている。


 俺は"楽人(らくと)"


 歳は……多分、三十歳。


 あれ? 確か日本に生まれ育った……筈だよな?


 混乱している俺に、神様は言った。


「ダンジョン管理してちょ」



 凄い適当な神だと思った。


 だけど面白そうだったので了承した。


 渡されたのはタブレット端末。


 ここにダンジョン管理をするアプリが入ってるらしい。


 次に目を覚ましたのは、ほの暗い場所だった。


 中央には浮遊する赤い石が光っていた。


 微かに照らされたゴツゴツとした岩肌。


 なんかダンジョンっぽい。


 いや、ダンジョンか。


 広さはそこまででもない。


 六畳ぐらいかな?


 さっそくタブレットのアプリを開いた。


【楽々ダンジョン管理】


 アプリのネーミングセンスも適当だ。


 俺の名前とかけたのかな。


 アプリメニューにある【マップ】を開く。


 ダンジョンの全体に自分のいる場所が点滅している。


 現在いるのは"コアルーム"だ。


 その先は、一つしかない。


 コアルームの二倍ぐらいある空間だけ。


 ここから拡張してダンジョンを成長させろという事か。


 アプリの右上に数字が表示されている。


【100000DY】


 DYは"ダンジョン円"の略みたい。


 なんで英語だと円がyenになるんだ?


 そんな事はどうでもいいか。


 円なら分かりやすくてありがたい。


 今の手持ちは十万円。


 初期ポイント少なくないですか神様。


「……」


 文句を言っても数字は増えないので、このまま頑張れという事ですね。


 とりあえず今の手持ちで買える物を調べてみる。


【自動開閉機能付き落とし穴】50000DY


 罠高っ。


 これでも最低ランクの罠だ。


 ダンジョンに付き物の魔物はどうだろう。


【スライム】10000DY


【ゴブリン】50000DY


【ポイズンウルフ】500000DY


 高い。


 スライムでさえ、一万する。


 ウルフが五十万なところが絶妙だ。


 犬も高い犬種はそれぐらいするしね。


 罠も魔物も今のDYで買ってしまうのは、躊躇する。


 なにかヒントがないかとアプリの中を色々見てみた。


 少し仕組みが判明。


 デイリーボーナスが一万円。


 生存ボーナスが、一週間目で五万円。


 一ヶ月で二十万円。


 それから一ヶ月毎に倍々で増えていく。


 一年間で継続ボーナスは終了。


 相変わらず絶妙な値段の付け方ですこと。


 他の稼ぎ方だと、ダンジョンに来る生物から魔力を吸う方法がある。


 ダンジョンで死ぬと、その生物の魔力分がDYに換算されて収入になる。


 生存していると、二時間毎に総魔力の3%を徴収。


 俺はここに目を付けた。


 例えば、総魔力が100の生物がいるとする。


 死亡した場合、総魔力×十倍して1000DYの収入一回。


 生存の場合、丸一日で3×12=36DY。


 死亡した分を超すには、約一月かかる。


 ダンジョンに一月もいるなんて無理じゃね?


 俺も最初はそう思った。


 だから考え方を変えてみた。


 ダンジョンに居てもらうんじゃなくて、住んで貰えば良いのだ。


 要は、ダンジョン村を作ってしまえという事。


 まあ、そんな事出来るか分からん。


 でも、なんとなくそうした方が良いように思える。


 だって、


【木造平屋】1000DY


【井戸】500DY


【温泉】5000DY


 この辺りの値段だけおかしいんだもん。


 ダンジョンでは不要そうなものだから?


 いや、違うだろ。


 これは天啓だ。


 スローライフをしろという――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る