第6話 除霊
夜、仕事を終えてSさん指定の場所まで行くと程なくSさんの車がやって来た。窓が下げられ顔がのぞき、助手席に乗るよう手招きされた。僕は遠慮がちに助手席に乗り込み今朝のお礼を言おうとしたが、それを遮りSさんは家まで案内するよう
アパートに着くと、Sさんは
除霊の準備を整え、お香が焚かれるとすぐに異変は現れた。例のラップ音と女性の〝どうして?〟という声が聞えて来た。するとSさんから厳重に結界を張り守れた空間、それはトイレなのだが、そこに移動するよう指示され僕はそこに身を隠した。
トイレに籠っている僕には、それから先部屋の中で起こった事は音と勘でしか感じる事はできなかった。まず部屋の中に例の女性の霊の気配が膨れ上がるのを感じた。Sさんはその霊に時に優しく語りかけ、話を聞き、時に厳しく諭した。霊との
トイレのドアを開けて居間に移動すると、そこには憔悴したSさんが座っていた。〝彼女は昇天したよ。もう君を悩ますことはない〟とだけ言うとSさんはその場で気を失った。
その後、Sさんの言った通り僕は霊に悩まされることは無かった。それからというもの同じ霊が見える者として僕とSさんは時々連絡を取り合う仲となった。
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