第3話 行方不明
行方不明になった女の子のニュースを見てからというもの、僕は気になって何度も自宅裏の公園を覗いた。しかし日中は会社に行っている事もあり、あの二人の女の子の霊の姿は確認できなかった。その間も携帯端末などから行方不明になった女の子についての情報は入ってきた。報道によるとキャンプ場に家族で遊びに来ていたのだが、川遊びをしている最中、親が目を離した隙に姿が見えなくなったらしい。親は〝目を離したのは一瞬だ〟と言っているらしいが…。
僕は日頃、水辺に行くことを避けている。何故なら川にしろ海にしろ、水辺も霊がとても濃い場所だからだ。そういった水辺にいる霊は水着だったりずぶ濡れだったりして溺れて亡くなった事が
水曜日の晩のニュースで行方不明の女の子の母親が情報提供を視聴者に呼びかけている映像が流れた。その内容は〝娘を保護した人がいるなら届け出て欲しい〟というものだった。ここ数日の捜索で遺体が見つからない事から母親は娘が水難事故に逢ったのではなく、道に迷ったところを保護されたか誰かに連れ去られたと思い始めているようだった。『でも…多分娘さんは既に亡くなっている』僕はやり場のない切なさに深い溜め息をついていた。
木曜日、家に帰ってテレビを点けると、例の母親がまた娘の情報提供を訴えていた。〝私が目を離した事へのご批判があるのは知っています。目を離した私が一番悪いのは分かっています。どんな罰でも非難でも受けます。でも今は娘に会いたい。どんな情報でもいいから協力してください、助けてください〟それだけ言うと母親は顔を覆って泣き崩れた。とても疲弊していてその姿は痛々しかった。昨日は僕の中にも『何故目を離したのか』という非難する気持ちが少しあったが、今の映像を見て母親は既に十分すぎる報いを受けているように感じた。
その日僕はなかなか寝付けなかった。霊が見える自分に出来ることがあるのではないかという思いと、それだけはできないという思いの間で揺れ動いた。僕にはある霊と深くかかわった事で大変な目に遇った過去があった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます