第27話 迫力満点!ウサミミ親分登場!

「な、何じゃありやぁぁぁぁ!!」


 バルコニーに呼ばれて見た先には街道を進んでくる群れ??軍団???


「な、何なのあの大名行列は(汗)」


 と、とりま!


 街の外で止めないと(汗)


「ルナとナガ・ハーンさんとアクアちゃんは来てね」


 大急ぎで城門に向かうわたし達。



 う、うん。。。


 改めて現代の表現で説明すると。


 大名行列です。ハイ。


 先頭を進むのは。。。


 うん。



 輿、ね。



 って!



 輿ぃぃぃぃぃぃぃぃっ!



 輿の上に座るのは、小柄な女性のウサミミの獣人ビースト


 豪華な着物みたいなのを着ていて、その上にそれまた豪華な打掛みたいなのを肩にかけてる。


 手には細かく細工された煙管を持っていて。時折それを口にして、フーッと煙を吹いているわ。


 何より驚きなのは、そのウサミミさんの顔。

 右半分のおでこから頬にかけて大きな刀傷。これ、眼とかどうなってるの?

 そして左側の耳は、右の耳に比べて耳の先っぽから3分の1くらいの長さになってる。


 うん。コレはアレね。


 スジモノってやつですね。


 で、でも、わたし。そんな人達にカチコミされる様な事してないわよ!


 

 ただ、本当に大所帯だわ。

 スジモノウサミミさんを先頭に多くの人が付き従ってる感じね。

 輿を担いでいるのは毛深くてデカい、頭の先には小さい耳。熊の獣人ビーストになるのかな?

 勿論、兎の獣人ビーストもたくさんいるわね。

 他には、岩人ドワーフ馬人ケンタウロスもいるわね。


 そうこうしてると一団が近くに迫ってくる。

 ココでビビったらダメよ、わたし!


「ちょっと、そんな大所帯でなんの御用よ!」


 一言かけると、輿の上のウサミミさんが煙管で止まれみたいな合図をしたわ。


「あんたが、ここのおひいさんやか?」


「そ、そうよ!」

 

 わたしの返答を聞くと、その人はふわりと輿から降りてくる。

 耳を覗けば身長は140cmくらいで、小柄ね。

 パッと見は子供に見えちゃうわね。


 そして、ゆっくりわたしの前まで歩いてきて、両膝を地面ついて、拳も地面につけたわ。


 うん、なんていうか。

 任侠映画とかでよく見るポーズね。


「この度はウチのモンが大変、世話になったぜよ」


 ウチのモン?世話?なんの事?んでもって、ぜよって。何で土佐弁みたいな喋り方なの?


「あの~、わたしスジモノの方のお世話をしたことなんてありませんけど…」


 見当がつかないわたし。


「スジモノ?ああ、ワシがこがな見た目やき。驚かしてしもうたかな?すまんぜよ」


 あ、つい失礼な事を。


「ワシはトトという者や。この組の頭や。おい!」


 トトさんが声をあげると、一人の兎の獣人ビーストがやってくる。


「姫さま!お久しぶりです!アタシの事、覚えてますか?」


 あーっ!


 覚えてる、覚えてる!


 小鬼に捕まってた娘だ!

 

 名前は、そう!トミミちゃんだ!


「この度は、姫さまのお陰で本当に助かりました。あの後、どうしても姫さまに恩義を返したくなって、お仕えしたくて。親分に1から鍛え直してもらったんです!」


 深々と頭を下げる、トミミちゃん。


 親分ってのはトトさんの事ね。確かにそんな貫禄だわ。


「トミミちゃんの熱意は買うわ!よ~し、わたしの専属メイドにしちゃおう!そういうことで、ルナ」


「畏まりました。トミミの服を用意致します」


 うんうん。一応、ルナとトミミも顔見知りではあるからね。


「それはそうと、何で親分さんはこんな大所帯でウチに?」


 そう、気になるのはそこなのよね。


「先ず、親としてきちんとスジを通したかったき。礼を申すぜよ。この通りや」


 深々と頭を下げる親分さん。それに倣って他の方も同じ様に。


「同じ女として、おひいさんのしてることには感服しとるぜよ。おひいさんの良い噂は色んなところで耳にするき」


 トト親分、女性だったのね。着ている着物が女性物だったから、そうだとは思ってたけど。


「折角やき、おひいさんの御膝元で商売でもやらしてもらおう思うたぜよ。ウチの自慢の職人らぁも連れてきたぜよ」


 成程、岩人ドワーフさん達は職人さんなのね。


「ワシらは交易にも明るいき。損はさせんぜよ」


 成程成程、馬人ケンタウロスさん達は、言わば運びてなのね。


 なんていうか、願ったりかなったり。

 渡りに船。

 つまり、マグロ(分かる人だけ分かってね)。


「勿論!いいわよ!」


「姫さま、お待ちを」


 ゔッ、良い感じの所にルナのツッコミ。


「トト親分殿に商売をしていただくのは大変結構なことなのですが。この大所帯を住まわせる場所がありません」


 ゔゔッ!

 忘れてた。。

 今、ウチは『住』の問題を抱えていたんだ。


 例の、わたしの『亜人被害の女性を助ける』という方針から、そういった人達が結構な数街に溢れてる。

 理解を得た住民にホームステイの様にしてもらってるのだけど、それには限界があるのよね。

 現代みたいに、マンション、まではいかなくてもいいからせめてアパートでもあれば…


「うーん、親分には申し訳ないけど、住んでもらうとしたら城壁の外になっちゃうなぁ。勿論、周囲を開発してくれるのは全然大丈夫よ」


 ルナも、まぁそれなら。という顔をしている。


「おお!恩に着るぜよ!おんし達、早速取り掛かるぜよ!」


 あれ?

 もしかして…


「ね、ねぇ、親分さん。もしかして、建築技術なんかもあるの?」


「勿論ぜよ」



 ならなら!

 アパートみたいな集合住宅、造れちゃいそうね!


「じゃあ、後で図面持ってくるから、職人さん達に見てもらってもいいかな?」


 フフフ、何とわたし、図面も引けるのよ。


 わたしの提案を快諾してくれる親分さん。

 うん!

 良い人だ!


 それから、もう一つの現在の問題を…


「あのぅ、お塩とか余分にあったりします?」


 恐る恐る聞くわたし。


「えいや、塩は高価やき分けられるほどはもっちょらん」


 だよね~。。。


 ん?


 塩を作れて、親分達に交易何かしてもらえたら、もしかして、儲かる?

 聞いてみよう!


「親分さん。もし、塩を作れれたとして、交易とかしたらどうなるかな?」


「そりゃ、おまん。こじゃんと儲かるぜよ。塩が作れたらの話やけんどね」


 キタ、コレ!!


 問題、解決の糸口!

 

 お城のお塩クライシスを解決!

 苦汁も手に入って、お豆腐が作れる!!

 麻婆豆腐が食べられる!!!

 お金も儲かって、お国の財政難も解決!!!!

 ついでに、海のお魚の流通ルートとシステムも確保!!!!!



 素晴らしい、わたしの現代の知識!!

 モチベ!超絶アップ!!


「よし!ルナ!水着よ!」


 ルナが冷たいジト目でわたしを見る。


「姫さま。今の話の流れから、どうして水着がでてくるのですか?」


 そ、そうよね。

 1人で勝手にテンションが上がってたわ。


「う、うん。海に視察に行かないと…」


「何故です?」


「お塩を作るの!後、魚!」


 ふむ。と顎に人差し指を当てて考えるルナ。


「畏まりました。私では計り知れない姫さまのお考えがあるのでしょう。用意致しましょう」


 よかった、却下されたらどうしようかと思ったわ。


「じゃあ、親分。何かあったらお城に来てね」


 親分達のお陰で住の問題の解決も見えて上機嫌なわたし。

 親分や職人さん達に挨拶をして、お城に戻ろうとした矢先。





 ホント、どうでも良い問題が、NOW発生していたことに気付くわたしですが、それは次のお話。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

「姫さま!大変です!問題発生です!」プリンセスに転生させてもらったら、何と魔王の娘!?次々起こる問題を現代の知識と得意なカンフーとお料理でズバッと解決! 杵露ヒロ @naruyamato

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ