第6話 小鬼退治、その前に亜人についてお勉強

 わたしはルナと一緒に今回、家の兵隊?軍?が返り討ちにあった(今聞いても信じられない)小鬼ゴブリン退治に来ています。


「それにしても、小鬼ゴブリンって一番弱いんでしょ?そんなのに遅れを取るとか、ガッカリ」


「いえ。姫さま。その認識は間違っています」

 ルナが指摘する。

小鬼ゴブリンが弱いのは肉体的に、です」

 基本的なゴブリンのスペックから説明をされるわたし。

 サイズは人間の子供くらい。

 知能もそれくらい。

「でも、それならなんで?これだけ聞くと驚異にも何にも聞こえないけど」

「姫さまが見ているのはあくまでも個体のスペックです。小鬼ゴブリンは群れます。群れとして考えなくては」

 群れか、群れ、ねぇ…

「では、先程説明したスペックに…」

 個の知能は子供程度だが、基本的には狡猾。上位種は尚更である。 

「と、加えると印象はどうでしょうか?」

「つまり、単体では驚異でも何でもないけど群れたら危険って事ね」

「ざっくり言えばそうです。こと、上位種の戦闘力は侮ってはいけません。個の強さに指揮系統が加わります」

 なるほど。確かに、数が多くて狡猾。要は卑怯な立ち回りとかをされたら、面倒ね。

「それから、私が姫さまをお連れしたくなかったのは、小鬼ゴブリンをはじめとする亜人の習性です」

 ルナは亜人についても説明してくれる。

 亜人は基本的には単性。

「ん?じゃあ、どうやって増えるの?」

「簡単なことです。他の異性種を使って産ませます」

「それって…」

「お察しの通りです」

小鬼ゴブリンって、オスだけ?」

「はい」

 わたしは、この時、身の毛がよだつ思いをしたのをよく覚えてるわ。

「つ、つまり。小鬼ゴブリンは女の子をレイプして子供産ませて、増えるってことよね?」

「れいぷ?強姦の事でしょうか?そうならその通りです。姫さまは時折、私共が知らない言葉を使われますね」


 うぇ、あんなのに犯されるとかマジ勘弁。

 さすがのわたしも、性癖のおかしい人にレイプ風プレイをさせられた事はあっても、された経験はない。因みに、逆レイプ風プレイもしてるからね。

 されてみる?

 わたし、そっちのテクもスゴいのよ?


小鬼ゴブリンだけではありませんよ?よく見る亜人、豚人オークも同じです。なので、亜人は基本的には異性を殺しません。殺す時は、飽きたか、子を産まなくなった時です」

 被害にあった女の子達の事を考えると、かわいそうね。わたしが普通の女の子だったら自殺しちゃうかも。

「亜人にも好みがあるようですが、人間、エルフ、魔族は例外なく、苗床にされます」

「うぇ、それは、ムリ~」

「私もそこは同感です。人間が苗床にされ、凌辱されるのは構いませんが、魔族がそのようなそしりを受けるのは耐え難く思います」


 うーん、やっぱりルナは人間に対してトゲのある発言をするわね。


「いや、そこは人間だろうが、森人エルフだろうが、草人グラスランナーだろうが、ダメでしょう。同じ女として」

「いえ。姫さまをあんな目に合わせた人間にはそれ相応の罰が必要です」

「いやいや、それとこれは別の話」

「お言葉ですが、姫さまは人間を信用しすぎです」


 まー、中身は現代人だから、種族間のイザコザが分かっていない、というのはあるけど。


「姫さまご自身が、水に流せと言われている寛大なお心は理解できます。そこは、私の気持ちの問題です。譲れないのです」


 確かに、ルナはルクスリアさんを大事に想ってたから、そこは私も理解出来る。


「人間は、悪い噂を流布するのです。例えば、我々魔族が亜人をけしかけている等です」

 ルナは忌々し気な顔をする。

「が、実際は違うのです」

「どう違うの?」

「我々魔族の肉体は魔力が強い。12種族1ということはお教えしましたね?」

「うん」

「一部の亜人どもにも信じられている通説があるそうです」

「ん?通説?」

「はい。魔力の強い魔族の女から産まれたモノは個体能力が高い、魔力を使える個体になる。上位種への進化がしやすい。等と。見た目の美しさもさることながら、その亜人どもの迷信により、魔族の被害も決して少なくはないのです」


 は?傍迷惑な迷信ね(汗)


「因みに、この事は私が捕らえた上位種の亜人を徹底に徹底して拷問をし、あらゆる肉体、精神的な苦しみを与え続けて聞き出した確かな情報です」


 いやいや、拷問とか不味いでしょう(汗)

 で、でも!

 女子特有の怖いもの見たさ精神がマッハを超えたわたしは、つい、聞いてしまった。


「ご、拷問って…た、たとえば、どんなことを?」

「そうですわね…」


 ヌルいモノから、ルナは表情1つ、変えずに話す。

 

 濡れ布巾を顔に当て、布に水をかけ続ける。そうすると、息が出来なくなる、死なないけど。

 

 生爪をゆっくり剥がす。

 いやいや、想像するだけでムリなんですけど(汗)

「失礼。生爪を剥がす前に、ハリガネムシを爪の先から侵入させる、を忘れておりました」


 いやいや、ハリガネムシって寄生虫よね?確か、カマキリの…


 他には…

 

 真鍮で作った牛の置物の中に、対象者を押し込み、火をかける。とか…

 イヤイヤ、何で「ファラリスの雄牛」がこの世界にあるのよ(汗)


 山を作った石畳の上に正座をさせ、その上で膝の上から重りを乗せていく…

 江戸時代かよ(汗)


「変わり種としては…」

 お酒を全身にぶっかけて森の中に放置。

 そうすると、お酒の甘い香りに釣られてムシがいっぱいやってくるとか、こないとか…


 お、おえええええええ…


 わたし、Gをやっつけるのは大丈夫だけど、ムシはムリ!

 わたし、一応、ノーマルな女の子!


 両の足先をそれぞれ別の牛にくくりつけて、それぞれの牛を逆方向に走らせるとか…


「わ、分かった、もう拷問の話はいいから!」


 何はともあれ、色々な思いが屈折して、お互いの偏見や不信感を産んでいる。というのはわかったわ。


「で、でも亜人はどうして、12種族と敵対するの?」

「はい。亜人そのものが世界と敵対する邪悪な神や、混沌の尖兵である、ということです。故に、手を取り合うことは出来ません。それは世界の歴史が示しています。それこそ、種族は関係ありません」


 そういうものなのね。

 

「さて。お喋りはここら辺まででございます。そろそろ小鬼ゴブリンの巣穴です」


 今のルナの説明を聞き、小鬼ゴブリンに対する認識を改めたわたし。

 囚われているヒトは、絶対に助けよう!!


 そう思い、巣穴に足を踏み込む準備を始める。



 その頃、巣穴で、恒常的に行われていた事などしらずに。



「い、いやぁぁぁ!もう止めて、許して、許してえ!」

 人間の女の子だろうか?小鬼ゴブリン達の欲望のままに輪姦されている。

「ひいや!うま、産まれ…あああああ」

 別の女性。耳が長く細身の体つき、森人エルフの女性だ。

 その女性は今、まさに小鬼を出産した。小鬼は1度に母体から3、4匹は産まれる。

 森人エルフの女性だけではなく、人間や、獣人ビーストの女性達も、犯され、産まされている。

 その様子を下卑た笑いを浮かべながら、別の女性を犯し、愉悦にひたっている一際大きな小鬼ゴブリン、この巣穴のヌシだろうか。



「ええか!あんたらは大人しくしいや、ウチの身になにかあっても、気にしちゃあかんよ!」

 別の部屋。

 人間の子供が2人5、6歳くらい。

 その子供を励ます、子供。

 否、草人グラスランナーの女性。

 見た目は人間の子供と大差ないので小鬼ゴブリンからは、人間の子供と、思われており、事なきを得ている様だ。

 ある、冒険者パーティーの末路である。

 言うまでもないが、パーティーの男達は見るも無惨に殺されている。


 

 コイツらは知らない。

 後、ほんの少しでわたしが来て、完全にぶちギレる事を…

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