転生したら【阿斗】かよ~諸葛丞相いないんだけど、どうすっかな~
信仙夜祭
第1話
「なに? 諸葛丞相が亡くなっただと? 戦場で?」
朕こと
「無念にも、五丈原にて亡くなられたそうです……。病死とのこと」
伝令が、涙を流しながら報告を行う。
私は、目眩がしてしまった。
そして……、階段を転げ落ちる。
――ゴロゴロ、ドスン
「「「陛下~!?」」」
日頃の運動不足と貧血が招いた惨事だな。特に食事には気をつけよう。
それと、皇帝の椅子って階段の上に作る必要あるんかな?
毎日階段を登るのが辛いんだけど……。
起きているのか、寝ているのか……。
まどろみの中で、何かを思い出して来た。
「正史三国志……。三国志演義……。シミュレーションゲーム?」
苦しみの中、私の前世の知識が、少しだけ蘇った夜だった。
朝起きて、確認する。
薄暗い部屋を出て、庭に出る。黙って、護衛がついて来た。
まだ、朝日が昇った時間なので、静かだな。
「俺……、劉禅なんだよな。ネタで、【扶不起的阿斗】……"助けようのないアホ"って呼ばれる。ヤバくね?」
「陛下……、ご無理をなさらずに、ご静養ください」
護衛が、諫めて来る。
「うん、心配かけてごめんね。でも、もう大丈夫よ~」
「……陛下?」
さ~て、どうすっかな~。
丞相の
この後、内乱が起きるけど、蜀漢って四十年しか続かないんだよな。残りは……、三十年弱くらいか?
「陛下! お目覚めでしたか」
「心配かけてゴメンね。でも、もう大丈夫よ~」
「……陛下?」
「報告をお願い」
「あ……。はい。諸葛丞相は、撤退の指示も出されており、
「ダメじゃん! 味方同士で殺し合う撤退戦じゃん!」
「はえ?」
歴史を変えられるのであれば、まだ間に合うか?
◇
俺は、馬に乗り走らせた。久々の乗馬だったけど、問題ない。
「陛下~! せめて馬車にお乗りください!」
「黙って、朕に着いて来て~。今は一刻を争うのよ~!」
蜀の道は、正直悪い。峠道を進み、桟道を通って漢中へ向かう。
途中で馬を変えて、夜道を強行軍した。
部下は……、半分が脱落だな。歩兵はしょうがない。でも、騎兵は頑張ってくれている。
食事も馬上でとる。とにかく急いだ。
三日で漢中へ到着する。
「陛下! 丞相は亡くられたのです。今更急いでも、何も変わりません! 冷静になってください!」
ついて来てくれたのは、
いや、今ならまだ変えられるんじゃない?
ここで、北伐より帰って来た軍が漢中に戻ってた。第一陣だな。
「これは、陛下!?」
馬より降りて、将軍が一礼してくれる。
「
「「えええ!?」」
まだ、間に合うはずだ……。
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