じつは実話です。その3 霊の通り道ってなによ?
以前、小金井の家に黒い影がいたという話を書いたが、船橋の家の周りには白い影がいたらしい。
らしいというのは、自分が体験したものではなく母から聞いた話だからである。
「家の周りにはいつも白い影がいるのよね。ぐるぐるぐるぐる家の周りをまわっているの。玄関でカギを開けるときとか、よく隣に立ってたりするんだけど、絶対中には入ってこないのよ」
母は思い出したようにたまに白い影の話をしては、「でも大丈夫。あれは絶対入ってこないから大丈夫なのよ」とどんな根拠があるのかはわからないが、自信満々に言っていた。
その存在を感じたことがない私は、「ふんふん、勝手に入ってこないとはそりゃ行儀のいいお化けだね」といつも聞き流していた。
そんなある朝、起きるなり母が言った。
「昨夜トイレで起きたら、あなたの部屋の前で手招きしている女の人がいたのよ」と。
起きたばかりでぼーっとしている私が、
「あれ?とうとうあの白い影が入ってきちゃったの?」と聞くと、
「違うわよ。あれは入ってこないわよ」ときっぱり。
あいかわらず白い影を信じる姿勢は変わらない。
「前に○○さんに聞いたんだけどね。うちのここら辺(私の部屋の前)、実は霊の通り道になっているらしいのよね。最近町内でお葬式があったじゃない?たぶんそのせいだと思うわ。ここを通ってあの世にいったのね。きっと」
初耳である?霊の通り道?私の部屋の前で誰かが手招き?なんだか物騒な話ではないか。
私の頭の中はいろいろ「???」だらけだったが、なにせ起きたばかりでぼーっとしていたというのもあり、深く追及もせずにその話を終わらせてしまった。
なので、後日改めて“霊の通り道”うんぬんの話を聴こうと母に確認してみた。
すると、「え?何?その話。気持ち悪いわね。そんな話した?してないわよ」と全く覚えていなかったのである。
そのころ母はまだ40代だったはず。
・・・恐ろしい。・・・何が恐ろしいって、霊とかそういうのよりも何よりも、おかしな話を人にしておきながら全く記憶のかけらもない母が恐ろしい・・・。
万が一、母ではなく私の記憶の方がおかしいのだとすると・・そっちの方もかなり恐ろしいのだが・・。
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