乙女ゲー世界でも地味子な私だけど努力して王子と結ばれたい!

@koketsutarou2

第1話地味な私であろうとも

見た目地味。


スタイルも普通。


頭もそれほど良くはない。




特技、これといってなし 趣味、読書と乙女ゲー 。


年齢、22歳の社会人。




と、何もかも平凡な私の名前は、田中花子。


名前まで地味で平凡です。




親から散々お前は地味だと言われ、


小中高と地味だ地味だと周りからバカにされ、


ついたあだ名が地味子。




高校を卒業して社会人になってからも、


地味な私は職場でも周りから疎まれて居場所はない。






でも今日は華の金曜日。


やっと地獄の日々から解放され夢の本職の方へとシフトする日。




そう、今私はぶっ通しで徹夜の乙女ゲーに勤しんでいます。




「……僕と結婚してください」


「―私でよければ喜んで」


 


―END




ううー、二人とも結ばれて良かったね……、


今しがた攻略対象の王子であるユリウス・クラネルとヒロインが、


無事にゴールイン。




はあ、私もこんなイケメンの王子様みたいな人と結婚できたらなあ……、


いいえ……地味な私にはどうせ結婚なんてきっと夢のまた夢の話だわ、




だってこんな地味な私を好いてくれる殿方なんているはずないもの。




もっと自分磨きとかして努力すれば私も、もしかしたら……、




垢抜けて可愛くなれたりするのかな?




恐る恐るネットで、 垢抜け 方法


と、検索をする。




SNSに上がっている美男美女の画像が表示される。


結果、無事に撃沈。




おぞましい現実を見せ付けられてしまった。




なによ、


こんなの垢抜けどうこう以前に生まれ持った遺伝子レベルが違うだけじゃない!




もう努力なんてする気が失せたわ。


努力なんて無駄無駄。


結局現実なんてクソゲーよ、クソゲー!




私には乙女ゲーの中こそ真の恋愛といってもいいわ。






でも……ほんの一度でもいいから、


私も人並みに恋愛とかしてみたい……。






はあー……、


私、いつから自分に自信が持てなくなってしまったんだろう?






どうして私こうなっちゃったのかな……。






グー。


こんなシリアスな場面でも私のお腹は空気を読まずに鳴った。




お腹空いたなー、


冷蔵庫に何か入ってたかな……。




……うん、綺麗さっぱり冷蔵庫には何も入ってない。




しょうがない近くのコンビニに行こう。




家から徒歩2~3分のコンビニへと向かう。




早朝の暗がりの中一人で歩く。






それは突然の出来事だった。


よそ見運転をしていた自転車が私に目掛けて突進してきたのだ。




私はぶつかった衝撃で吹っ飛ぶ。




頭を強く打ち付けた。




その当たり所が悪かったのだろう。




私はそれであえなく死んだ……。






「……はあぁっ!」




気付いたら私はベットから勢いよく身を起こしていた。




なんださっき見たものは……


夢か、でも夢にしては痛みがすごくリアルに感じた……。




まさかあれは現実では。




というか、ここはどこ?


見慣れぬ景色の部屋。




いまだ状況がよく呑み込めない。






「ミシェルどうしたの? 何か悪い夢でも見たかしら?」




この部屋の扉が開くとともに中年女性が顔を覗かせた。




「え、いや、私さっきまでコンビニに行こうとして、


そこで確か自転車にぶつかって、それで凄く痛いなって思って……」




「……何を言ってるのかよく分からないけど、きっとなにかよっぽど悪い夢でも見たのね」




どうやら悪い夢を見たせいでおかしくなったとでも思われたかもしれない。




「あ、いや、違うんです。なんでもないんです。そう悪い夢を見たせいで混乱してしまって……」




「そう? なら良いんだけど。


明日は聖ヴァレンシュタイン学院の入学式なんだから、今日はちゃんと寝るのよ。


いつもみたいに夜更かししちゃダメですからね」




「ああ、はい、分かっています。そうですよね、


明日は聖ヴァレンシュタイン学院の入学式ですもんね。」




なんのことかさっぱり分からないけど……。




「それじゃお休みなさいミシェル」




「ああ、はい、お休みなさい」




ガタン。扉が閉まる。




いや寝れるかい!




なに、なんなのこの状況?




さっき私のことミシェルって呼んでたけど、


ミシェルって誰?




私は田中花子っていうシンプルイズベストで立派な名前があるんですが!




あれ、そういえばミシェルって名前聞き覚えがあるような……、




あ、さっきクリアしたばかりの、


「聖ヴァレンシュタイン学院パラダイス」に出てきたモブの女の子にそんな名前の子がいたわね。




まさか……、


私その子になったの?




いやまさかそんなバナナ、あ、じゃなくてそんなバカな。




……。




私は恐る恐る近くにあった鏡を見た。




……そこに映った自分は、私の知っている私ではなかった。




なんか変な言い回しだけどこんな表現しか思い浮かばなかった。






こんな信じられない状況だけど、なんかこうなってはもう受け入れるしかないみたい。




どうやら、私乙女ゲーの世界の中に来たみたい。






でも乙女ゲーの世界にきてまで地味なモブの私ってどうなの?




私ってどうあがいても地味なままの地味子なのね……。






……ここが乙女ゲーの世界なら、イケメンがたくさんいるはずよね。






せっかくこの世界に来たのだから、イケメンとたくさん恋愛したりしてもいいよね?






それにどうせ一度は死んだ身の私、


ならここは開き直って思う存分生きたってバチは当たらないはず。




前世での私は自分が地味なのを理由に言い訳ばかりしてきたけど、


地味なモブのままの私であろうとこの世界でならやり直せるかもしれない。






決めたわ私。




自分磨きをたくさんして、


努力もたくさんして、


イケメンの殿方をたくさんたぶらかして、




最後には、


この世界の王子であるユリウス様と結婚までしてみせるわ!






私、田中花子。


もといミシェル・ブラウンは乙女ゲー世界でも地味子だけど、


頑張って勝ち組の人生を手に入れてみせます!

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