闇に叫べ!9 須賀川殺人事件

鷹山トシキ

第1話

 2006年

 ライブドア(現・LDH)の代表取締役社長であった堀江貴文らが証券取引法違反容疑で逮捕され(ライブドア事件)、前年にメディアなどを騒がせたヒルズ族も一転して逆風にさらされることとなった。

夏の甲子園大会で早稲田実業を優勝に導いた斎藤佑樹投手は「ハンカチ王子」と呼ばれ注目を集めた。以降、「○○王子」という言葉が流行るようになる。

 10代から20代を中心として第二次ケータイ小説ブームが起き、翌年にかけてベストセラーが続出するようになった。

 北朝鮮が地下核実験に成功したと発表、日本を含め東アジアおよび国際社会に衝撃が走った。

 

 須賀川市は、福島県の中通り中部にある市。郡山都市圏に属している。

 福島県の空の玄関口である福島空港が、隣接する玉川村にまたがって所在している。


 観光では、全国の牡丹園で唯一の国指定名勝である須賀川牡丹園が名所として挙げられるほか、祭事では毎年11月の「松明あかし」が有名である。特撮の巨匠、円谷英二の出身地であることから代表作品のひとつであるウルトラマンを活かしたまちづくりやイベントを精力的に行っている。


 素晴らしい家柄である螺髪らほつ家は、当主和吉が銀行家として一代で財を成したが、和吉は家では暴君であった。和吉は『太陽にほえろ!』でゴリさんを演じた竜雷太に似ていた。


 そのため、彼には4人の息子がいたが、長男剴(ラオウ似)、三男在助(八嶋智人似)、四男大吉(弓削智久似)は和吉を恐れ、憎んでいた。しかし、次男の万世ばんせい(吉田栄作似)だけは、頭も良く敏腕な弁護士だったので、和吉に可愛がられており、万世もまた和吉を尊敬していた。


 そんなある日、和吉が銀行法違反の罪で告発された。和吉は息子たちに助けを求めたが、剴、在助、大吉はそれを拒絶、万世だけがただ1人父の味方となり、父を救うために検察を買収しようとしたが、剴の密告で逮捕され、7年の懲役刑に処せられる。彼の服役中、和吉は息子たちに銀行を奪われ、失意のうちに死んだ。


 7年後、出所した万世は復讐を考えるが、家庭の不和が父の性格に起因した事、これ以上醜い金の争いに汲々とすることは良くないと思い考えを改め、かねてから交際していた菜奈との生活が自分の行くべき道だとの思いに至り、彼女と共に須賀川に戻ってくる。


 2013年1月2日

 須賀川で休暇を楽しむ竜崎は、「3日間に3度も命が助かった」と話す硴塚桜と再会した。別れたあと彼女が忘れていった帽子のつばにできた穴が狙撃によるものだと見抜いた竜崎は、4度も命を狙われ、なお迫る危機から桜を守るため、また、こともあろうに希代の名刑事の目前で殺人を犯そうとした、”不運な”犯人に対する決意を胸に彼女の泊まってる宿へ急行する。


 須賀川の歴史は古く、旧石器時代の乙字ケ滝遺跡を始め、奈良時代から平安時代にかけての遺構である上人壇廃寺址(国の史跡)など、古代からこの地が東北地方の要衝であったことが分かる。


 鎌倉時代以降は二階堂氏の城下町として栄えたが、天正年間、伊達政宗に攻められ、須賀川城は落城した(須賀川城攻防戦)。毎年11月の第2土曜日に行われる日本三大火祭りの1つ「松明あかし」は、このときの二階堂家の霊を弔うために行われてきた伝統行事である。


 江戸時代は白河藩領で、奥州街道屈指の宿場町として独自の町人文化も花開いた。江戸中期には俳諧が盛んであったため、松尾芭蕉は『奥の細道』の旅で須賀川宿に8日間も滞在した。


 1868年(明治元年)、須賀川地方は戊辰戦争で大きな打撃を受けるが、明治から大正期にかけて復興の道を辿る。1876年(明治9年)に本町・中町・北町・道場町が合併し、須賀川村(すかがわむら)となる。1889年(明治22年)の町村制実施により、森宿村の一部を合併して須賀川町(すかがわちょう)となった。


 また、1954年(昭和29年)3月、須賀川町と隣接する浜田村・西袋村・稲田村・小塩江村の4か村が合併し、市制を施行して須賀川市が誕生。市制以降、翌1955年(昭和30年)3月には仁井田村、1967年(昭和42年)2月には大東村、2005年(平成17年)4月に長沼町および岩瀬村をそれぞれ編入した。


 平成に入り、須賀川市は臨空都市として大きな変貌をとげた。1993年(平成5年)に開港した須賀川市南東部に位置する福島空港では福島県の空の玄関として大きな役割を果たしている。また須賀川市は、東北自動車道の須賀川インターチェンジが整備され、福島県内でも比較的高速交通網に恵まれた地域である。また郡山市に隣接しており、郡山駅から東北本線で所要時間約12分とアクセスも良いため郡山のベッドダウンとしても発展している。

 

 竜崎は宇津峰やって来た。

 宇津峰は、福島県の田村郡と石川郡(現在は郡山市と須賀川市)の境にある独立峰宇津峰山(標高677メートル)の山域全体を利用した日本の城(山城)跡。「星が城」あるいは「雲水峯」の別称がある。国の史跡に指定されている。

 

 南北朝時代初期に宇津峰山麓を支配していた守山城主・田村宗季(庄司)は奥羽地方の南朝側における有力武将の一人であった。当時の奥羽地方でも他地域の例に漏れず南朝と北朝の総力戦が至るところで発生していた。しかし、奥羽南朝軍の中心的存在であった北畠顕家や結城宗広が戦死あるいは病死すると、宗広の子・結城親朝の寝返りなどもあって情勢は徐々に北朝有利となっていった。


 1346年、北朝方は南朝方の立て籠もる霊山城などの奥羽各諸城を一斉攻撃し、宇津峯城もこのとき落城する。しかし、観応の擾乱の余波が奥羽にも及んで北朝方が分裂すると、奥羽の南朝軍は勢力を挽回し、1351年の冬にはついに奥羽地方の支配拠点である多賀国府を奪回する。


 ところが、翌1352年初めには再び北朝に国府を占領されてしまい、南朝方の北畠顕信は後醍醐天皇の孫・守永王(宇津峯宮)を奉じて再び宇津峯に立て籠もった。宇津峯城は要害堅固であり、また、田村庄司一族の奮戦もあって、北朝方をなかなか寄せ付けなかった。しかし、やはり時の勢いには勝てず、南朝方の拠点も徐々に落とされていく。


 1353年4月、北朝軍は宇津峯城の一斉攻撃に入り、5月4日、宇津峯はついに陥落する。守永王と顕信は出羽、さらには北奥羽へ逃れ、奥羽地方の南北朝の戦いはこの戦いを最後に事実上終結したのである。また、田村庄司一族も戦いに敗れたことによりその勢力は大幅に失われ、やがては奥羽の歴史舞台から消滅するのである。


 なお、戦国時代に三春城を本拠として田村庄一帯を治めた田村氏はこの田村庄司家とは同族関係にない。

 

 1月6日

 NHK大河ドラマ『八重の桜』放送開始(〜12月15日)。

 夏目漱石の全集未収録随筆分「韓満所感」が発掘されたことがわかった。

 

 中年の男女が郡山駅の待合室にいるところにおしゃべりの呂宋が割り込んでくる。2人は最後の別れの時だったのに邪魔をされる。帰りの列車の中でも呂宋は喋りっ放しだった。うんざりしながら須賀川にある自宅に帰宅すると、会社員の夫、正一と2人の子供が奈美江の帰りを待っていた。NHKアナウンサーの和久田麻由子に似た、奈美江は「めまいを起こしたので少し休む」といい、心配した正一は睡眠薬を勧める。が、奈美江は拒否してZARDの『運命のルーレット廻して』のCDを聴きながら、数週間の出来事を振り返っていた。「数週間前まで私は家庭がいきがいの普通の主婦だった。あの日から、私の世界が変わった」と回顧し始める。


 奈美江は毎週木曜日に、近くのメガステージというショッピングモールへ愛車のアルトで出かけ、1週間分の買物をし、本屋で大藪春彦の『野獣死すべし』を買って、ファミレスのココスで簡単な昼食をとり、午後は極真空手をジムで習ってから帰宅するという平凡な結婚生活を送っている。ある日の夕方、白内障になったのでクリニックに出かけた。ルー大柴に似たドクターに奈美江は惚れて、猛アタックしてラインを交換することに成功した。次の木曜日にはイオンタウン須賀川で行き会う。その次の木曜日、奈美江はココスで再会。満員だったので同席になり、昼食を食べながら自己紹介をする。彼は鶴川亮という開業医で、木曜日毎にイオンタウン須賀川に勤めている友人、螺髪大吉に会いにやって来るという。鶴川に奈美江は「『最高の離婚』を一緒に見ましょう」とアタックした。『最高の離婚』は木曜ドラマだ。濱崎光生(瑛太)は、東日本大震災発生時の帰宅困難な状況下、取引会社の受付で挨拶程度しか言葉を交わしたことがなかった星野結夏(尾野真千子)と出会い、声をかける。ともに災害に見舞われた不安な気持ちを抱える中で二人は意気投合し、その後同棲に発展して結婚する。しかしそれから2年後の現在、几帳面な光生と大雑把な結夏の生活習慣は全く噛み合わず、光生はなぜ結婚したのかすらわからなくなる。


 やがてある日、光生と結夏はいつものように口論する中で「離婚」という言葉が飛び出すが、それから程なくして結夏が自身と光生の名前を記入した離婚届を役所に提出し、離婚が成立する。


 その一方、光生はぎっくり腰に見舞われたことから偶然にも、大学生だった頃に交際していた上原灯里(真木よう子)と再会する。その灯里は現在では上原諒(綾野剛)と結婚した人妻であったのだが、やがて光生はこの2人の意外な関係を知ることになる。

 

 鶴川と奈美江は互いに心を惹かれていき、鶴川はまたぜひ会ってくれと頼む。しかし、次の木曜日には鶴川が来ず、落胆して彼の愛車のスカイラインを待っていると、鶴川が駆けつけて手術が手間どったという。次の木曜日、映画『嫌いっていいなよ』がつまらず、UNIQLOで買い物をして、はま寿司で鶴川は愛の告白をする。帰宅すると息子が頭にケガをしていて、奈美江は自責の念にかられる。次の木曜日、郊外にドライヴして愛を語り、鶴川に誘われるまま、自宅に向かうと思いがけず正一が早く帰宅。奈美江は屈辱から夜の町を歩き回り、警官に娼婦と間違えられそうになる。駅で鶴川も妻子ある身の自責に耐えられず自殺を考えるが、怖くて出来ずに県外の病院に勤務することに決めた。


 次の木曜日、別離の苦しさが胸を締めつけ、思いがつのるが、須賀川駅にてレイザーラモンRGに似た知人、市原喜多郎に見つかる。鶴川と別れの挨拶もできないまま、列車が去っていく。奈美江は急行列車に身投げしたい衝動に駆られるが、息子からのメールで思いとどまる。


 2月1日 - 福島復興再生総局が発足。復興庁福島復興局、環境省東北地方環境事務所福島環境再生事務所、原子力災害現地対策本部を統括する。


 後5時40分頃、螺髪在助の元同僚、市原喜多郎が殺意をもって螺髪宅に居た、大吉、剴、在助を次々に持参したナイフで刺殺した。事の発端は、午後5時30分過ぎ、螺髪宅から「男が来て、もめている」と110番通報があり、福島県警察刑事課の残間が駆けつけると、刃物で刺された大吉ら3人が倒れていて、その後、死亡が確認された。残間は、現場でナイフを所持していた市原を銃刀法違反容疑で現行犯逮捕した。同年10月15日に市原を在助への殺人容疑で再逮捕、逮捕直後の取り調べで市原は、容疑を認め「殺すつもりでナイフを持っていた」と供述した。さらに、「過去に電磁波攻撃を仕掛けられた」とも供述していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る