第2話 遭遇

おんぼろ日本家屋リフォーム計画により、3月のほとんどをラボで暮らすこととなった。彼女はちょうど4月で6年生、キリがいいので4月に転校の手続きを済ませるため、父とともに学校へ向かう。


西にある木造建築物が小学校、実態は小中一貫である。。彼女は4月からそこへ通うこととなったのだ。その帰り...


「やっていけそうか?」


「うん!」


彼女は自信溢れる、未来の新たな学校生活に期待していた。そして、そのままラボの居住スペースへ帰って行った。


だが、中心にあるこの村では栄えた方な集落。そこを通る際、周りにいる少しの村人からの視線が痛い。まるで異形の者を見るかのように...



南山、とある御池。


「ほんで、妖の連中らが心配しとるわけやな」


『カタカタ』


コダマが森中を響かせる。


「懐かしいな、そういう奴がおったとは...人間は飽きひんな〜」



池の中から半身を出す緑の物体。


「コダマたち、もっと多くの情報、持ってきいや?そして、ワイに伝え!」


コダマたちはカタカタ鳴りながら消えていく。森は青緑豊かで動物も生き生きとしている。


そんな場所には自然ゆかりの妖ども、特にコダマがいるおかげだという。



胡座順道あぐらのりみち教授の言葉。


「元くんが来てくれて嬉しい限りだよ」


「いや〜僕も胡座さんと仕事できて光栄に思います。」


自然科学研究の第一人者である教授、彼を子供の頃から慕う城守元。彼のために大学教授になったのだ。専門は自然科学。妖と自然を科学的に研究することを目標としている。


「そうかそうか......元くん、村民に何かされなかったかね?」


「え...いや、特には」


「そうか、村人らに何もされなかったと?」


「??...ええ、そうです」


「そうか、それはよかった...」


「どういうことですか?」


「この研究自体、この村の住民らに反対されてるのだ。私たちが崇め讃えてきた妖様を勝手に調べる不届き者として。さぞ相当崇拝しているのだろうな、たまに我々にちょっかいを出してくる。気をつけるんだな」


朱鳥村、かつて妖とヒトが共存していたと言う。互いに崇拝し合い、共にこの地に根付いていた。だが、文明開花により妖は身の危機を察知し、姿を眩ました。案の定、その後その地は戦争の疎開地だったそうだ。ヒトが増えたことにより妖は二度と村人の前へは立たなくなった。だから、村人の感情は受け継がれ、他の町のヒトを蔑むようになった。いつか共に暮らしてきたはずの妖を求めて...


「これが、朱鳥村の大まかの歴史。最近はまあ若い世代を中心にその傾向は薄れているが、高齢層を中心に未だ不快には思ってるらしい」


その話を聞いていた私。真夜中でパッと目が覚め、トイレを探している最中に見かけた。父と偉い人の話。妖という存在...



次の日、まだ3月の中旬。ラボでの暮らしは慣れてきた。あの家屋のリフォームは意外にも4月2日に完成を遂げるらしい。私はその日までにある程度の地理感をつくる。この村のどこに何があるのか、父に内緒でラボを出る。どうせ反対するだろうから。2年前に母を亡くした私、それのせいか父は少々過保護で私を扱う。それが正直、嫌。


ラボを出て、田んぼのど真ん中の小道を通り、町散策。たまに村人とすれ違うが、頭を下げることもせずそそくさと私の横を通っていく。昨日の話は嘘ではなさそうだ。


私は少し気分が悪くなった。、小3の頃のトラウマ。町を離れた。何も考えたくない。無心で歩き続けたらいつのまにか山奥に。


「あ、やば...」


暗くなりつつある。昼に出かけて、そんなに経ったのかと悟った。夜の山は危ない。ラボの研究員らの噂話で聞いた。クマが出るらしい。だけど、実際は...


目の前にある池。おそるおそる覗く。


「そんなにわいの池が気になるか?人間」


ふと振り返ると、緑の身体。頭に皿があり、深緑の髪?。背中に甲羅。手には水掻きが見える。


そんな人のカタチをした異形を目撃した...

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