12.ビバサウナ!お風呂とは水を張るだけではないんだからね。



 人の清潔度合いを上げるにはお風呂に入れ。これはまぁ常識だろう。



 ただ欧州中世において、水を張った湯船に入らない一因は教会が絡んでいる。

 衛生問題を解決するためにお風呂に入れ―!などというと教会権力と対立、最初のころにも述べた通り魔女狩りで家ごと首ちょんぱ☆になってしまう。



 理屈よりも信心。理屈を理解できるほどの学力の向上には手を出すつもりはない。



「ただでさえ教会とバチバチやってるのに貴族の既得権益問題まで手を出したらやってられないもの」



「奥様……奥様がまともなことを!?」



 ……天変地異は起きないわよ。



 地位の平等は必ずしも善行ではないし、中途半端な民主主義の結果、政治家だけでなく民の質も上がるより悪質になることは珍しくない。だからといって共産主義や社会主義、まして悪辣な独裁に賛成するつもりもない。ただ誰もが満足する理想の社会形態なんてものがあるのなら教えてほしいってだけで。



 おっと。本筋と関係のない愚痴がまた出てしまったわ、オホホホホ。



 さて、色々の問題を抱えている中で現実的な案として選ぶのが今話題のサウナである。



 作り方は、前回に出てきた魔石をフル活用。急に魔法要素が増えて異世界っぽくなってきましたわー。

 熱の魔石をはめ込んだ岩と水の魔石で蒸気をバンバン作っていく感じ。



 サウナも前世だと様々なやり方や考え方があった。



 ただ、日本のお風呂の歴史は縄文時代から。その時代にはすでに火山性の源泉が発見されていて、入っていたんじゃないかなー?程度には議論されている。儀式的な水場の可能性もあるので確定で入っていたといえないのが何とも歴史ロマンだね。



 そこから時間が流れて、聖徳太子さんで有名な6世紀ごろ、中国から仏教ととも入ってきた沐浴。これが日本におけるサウナの原型だ。まぁ、間に色々とあって、世間に親しまれるようになるのは東京オリンピックでの選手村の施設が人気になったからだったかな?



 歴史としてはこんなもの。

 


 そして……今よ!



 この世界でサウナを作るのであればなにがしたいのか?それは――。



「――蒸気は硬水!水風呂は軟水よ!」 


 

 科学的証明はあまりないんだけど、体感として蒸気は硬度高めで水風呂を軟水にするとめっちゃさっぱりする!



 事実、人気のあるサウナを設置しているお店の大体が『良い水風呂』なのだ。そして前世のガブリエラもそう感じていたからこそ、サウナのやり方よりも水風呂にこだわりたい……。



「ただまぁ……お手入れの手間は大変そう」



 温泉でもよく見かける白い物体。

 スケール・カルキなど、いくつかの呼び方がある迷惑な白いやつだ。GUND〇Mではない。



 水に含まれるカルシウム分とかが固まってできるので、軟水でやってもやかんやポットの中が結構白くなることを考えると、硬水でサウナなんてやったら真っ白になりそうだ。



 あれ自体が不衛生かと問われると、別にそこまでではない。ただ見た目は悪いしほっとけばそのまま体積は増えていくから邪魔だし。やかんについたのを放置した結果で食中毒が起きた、なんて事例もあるが例外中の例外なので気にしなくてはいいと思う。



「たしか……酸性に弱いはずだからテキトーにそれっぽいの提案して旦那様に丸投げ案件かしらね?」



 お手入れの手段と人員確保。そこは必殺丸投げだ!



 余談

 汗をかいた後にする経口水分補給はミネラル分の多い硬水のほうがいい。

 ガブリエラが本当はやろうとした、なろう名物でもある砂糖と塩、レモンの絞り汁などを混ぜたお手製ミラネルウォーターは、この世界でやると経費が掛かりすぎる全力却下されたとかなんとか。



 砂糖と塩を入れてる時点で庶民からすれば高級品です……。


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