02.ないなら作ってしまえ!!大丈夫だ、権力はある。
水。
それはほぼすべての有機生命体にとって必要不可欠なもの。
だからこそ、転生して体が変わっても魂が覚えていた。
硬水と軟水の違いを!!
「小説でよくみた中世ファンタジー転生の最大の障害……それが水だったなんて!!」
私。侯爵令嬢カブリエラ・マインズフィールは大抵の転生者が気にしていたかどうかすらわからない部分において、壮絶な衝撃を受けていた。
「だけどそうよね……実際に中世。つまりは欧州とかが舞台になるなら地形と風土。それを考えれば硬水のはずだわ」
事実、ガブリエラの前世は日本人とフランス人のハーフで、幼少のころはフランス人の母方の実家で過ごし、高校生ぐらいの年齢の時に日本に移り住んだ経緯があるためにわかる。
硬水と軟水の味の違いが。
初めて父の実家に挨拶に行った時、比較的山間部に住んでいた祖父母の家で飲んだ水は衝撃的だったのだから。
硬水の味。正確には水に溶け込んでいる様々な物質による臭み?とでもいえばいいのだろうか。
もちろん、フランスに住んでいた時に気にならなかったそれは、日本の軟水に触れてからはあまりいい気分になれなかったのだ。とはいえ、硬水には硬水の良いところもあるのですべてを否定しない。だが選択肢がないとなると話は別だ。
「でもこの世界だと軟水は……手に入らないわよねぇ?」
「あ、あの!」
おっと、専属侍女のアールのことを忘れていた。
声をかけてきた彼女に顔を向ける。それはもう、決死の覚悟といった顔つきでそこにいた。
「謝罪はいくらでも致します!ですから、ですから!!」
必死すぎる彼女の謝罪。私がまずいと言った理由も含め、何に対しての謝罪なのか、彼女自身もわかっていないだろうに。
ふふっ、権力って怖ーい。
「アール、別にあなたのせいじゃないし不手際もないから安心して。」
「ほ、本当にですか!?」
「ええ。それよりも聞きたいことがあるのだけれど」
私はあきらめが悪い。
この短い時間で、この世界で軟水を手に入れるのは難しいと判断はした。
だけど……そうだだけど。
おびえる彼女を見て思ったではないか。
権力があるのだ、と。
「そう、ないのなら作ってしまえっ!!」
こうして水の改革を。水に対する知識の改革を私はやると決めた。
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