空回り

かい

第1話

今考えてみると本当に不便だったと思う。不便な選択肢を僕らは選んだのだ。



僕と沙希は卒業式から半年後の9月の終わりにチェーンメールで再会したのだ。適当なチェーンメールを作って人々に送り、送ると言っても友人くらいだが。適当に送っては悪ふざけかよと笑い飛ばされ、また送る。そんな日々がこれからも続くはずだった。しかし僕は送り先を間違えてしまったのだ。友人と沙希のメアドは一文字違い。僕は沙希の方に送ってしまったのだ。送信ミスに気がついたのは次の日にきた沙希からのメールだった。沙希から来たメールにはありがとう。としか書かれていなかった。どんなに確認してもありがとう。ただそれだけだった。その時送ったチェーンメールは友達4人に送らない、と不幸が起こるというありきたりなものだったが最近ひねくれたものばかり作って友人に回してる僕にとってはちょうど良いものだったが、そんな内容のメールにありがとうと返すか…?と気に引っかかったものの朝食をとったりするうちに忘れていた。

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空回り かい @gemini531

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