特異体質の最強兵器《マッシングウエポン》
葉名月 乃夜
第1話
漆黒の夜。ビルの多い街の中、建物の上を飛び交う小さな影があった。
その影は、闇に混じった紺色のマントをはためかせながら、ピョンピョンと屋根から屋根へ飛び移っていく。
やがて、街の中で一番高い建物の屋上にきたところで足を止めた。屋上の床のぎりぎりの角に片足をかけて、街を見下ろす。
彼女の目に映っている景色は二つ。夜なのにも関わらず、昼間のような明かりさを灯している街中。それとは対照的に、明かりがひとつもない街のはずれ。
「今日も平和だなぁ」
その影は、夜風に、一つでくくった黒髪を靡かせながら呟いた。
その影の正体は、人間の少女であった。15歳の、大人びた雰囲気を醸し出している少女、
彼女は軍服のような格好に、お尻まですっぽりと隠れるほどのマントをかぶっているため、夜の街に蔓延る闇と完全に同化している。しかし、彼女にとってはそっちの方が都合が良かった。
何せ、今は
『こちら、本部。
「こちら
『了解。早速だけど
「何処?」
『
そう言った2秒後、
画面を見ると、『本部 〈
自分の位置を示す白い
本当に、すごい近い。
「行くか」
そう呟くと、床の淵にかけていた足を離して、彼女はビルの下に落ちた。
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