第5話 目覚めるって煩いからだよね
スゥゥゥー…
光が消え謁見の間に静寂が戻る。
ゴトンッ……
ココの尻から零れ抜けた『ソウルイーター』が床に転がった。
「ケヒヒ…魂は剣に宿った…ようじゃ…娘、よう頑張った…」
「尻が…穴が…ヒリヒリする…」
ココは涙目で呟いた。
「ココ―‼ アナルバージンを失っても俺は…俺だけはオマエの見方だー‼」
父親も涙目で叫ぶ。
バスターソードを尻の穴に刺されたJC『ココ・ドコデスノン』
拘束を解かれ、無言でパンティを上げ、スカートを戻した。
「なんか…何と言っていいか…言葉が浮かばん‼ とにかく…すんませんでしたー‼」
騎士団長『トマ・トアッカイ』渾身の土下座である。
「ウグッ…ウワァァァァーん‼」
立ったまま大声で泣き出したココ。
恥ずかしさで穴があったら入りたい…いや、入れたから、まぁそうなっているのだが…。足元に転がる武骨で不気味なバスターソード、コレが自分と一時的に合体していたと思うと…もう、泣かずにはいられない。
「スマン、ココ殿…その痛むよな?尻…の穴…」
土下座のまま、ココの顔を下からそっと覗き込むトマ。
そういうことではない。
ソレが解らないのが騎士団長トマという男なのである。
「フグッ…フガァァー…ウワァァァァーン」
さらに泣かせた。
足元のバスターソードを思いっきり蹴飛ばしたココ。
尻の穴がズキッと痛んだ。
グワンッ‼
王宮の壁に当たり隅に転がるバスターソード。
(ん…なんだ?)
「ウワァァァァーン」
その勢いのままココが土下座しているトマの頭を長い足で踏みつける。
「グヌ…ココ殿…」
(うるせぇな…騒がしい…)
少女のガン泣きに呼応するようにドクンッ…ドクンッと脈打つバスターソード。
壁の隅でだが…。
ギャン泣きのココに皆が気を取られているなか、疲れて座り込んでいる占い師のババア『アン』だけは魔剣『ソウルイーター』の鼓動に気づいていた。
「目覚めるか…魔剣と共に…ケヒヒ」
ブオンッ‼
周囲の空気を震わせ魔剣『ソウルイーター』がココの目の前に飛んできた。
「うん?」
ココが目の前の禍々しいバスターソードを涙目で眺める。
ゴシゴシと拳で涙を拭って、剣を不思議そうに見ている。
「貴様が…俺のタマ‼ グフゥ‼」
剣が何事か言いかけていたのだが、ココは握った拳で剣を殴った。
ガランッ…
一同、目が点である。
喋りだした剣…さっきまでココの尻に刺さっていた件の剣が飛び、喋り、殴られたのだ。
「どういうことだ‼ いきなり殴るとは‼」
「いきなり人の尻の穴に刺さってきたアンタに言われたくない‼」
喋る剣に驚きもしないココ。
それ以上の経験を先ほど済ませたからなのであろうか?
大人の階段を、とんでもねぇ段飛ばしでクリアしたのだから。
聞くに耐えない言い合いを止めたのは、無器用な騎士団長『トマ・トアッカイ』
軽装の鎧の隙間から無言でそっと差し出した『ボラ〇ノール』
ココの手に握らせた。
「痛いよな…切れ痔」
ニコリと笑った騎士団長トマ。
ズガンッ‼
ボ〇ギノールの箱をギュッと握りつぶし、そのままトマの顔面に叩き返してくれたココ。
その白い頬に涙が一筋流れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます