放浪癖滞罪記 in Singapore
Ricardo Moe
第1話 arrival ⒈
快晴だが空に透明な膜の張ったような日が多かったあの年のシンガポール。
思えば日本を立ち2ヶ月ほど経過した10月頃だっただろう、旅の予定のちょうど折返しだったのでよく覚えている。
入国審査、税関、他全てなんの問題もなく終えた。
緊張感もトラブルもなく入国できたのは思えばシンガポールだけだった。
私はシンガポールに日本人の友人が住んでおり彼のアパートに宿泊させてもらえるとの事で宿泊代も浮くと喜んだ。
(シンガポールは宿泊費が最早アジア価格ではない。。)
入国をして足速にwifiを探しタクシー乗り場へ向かう。
思えば旅先で宿泊先以外の場所へ最初に足を運ぶことは初めてだった、いつも細かい予定は決めず、初日一泊の宿泊先だけを決めてバックパック1つで空港へ。
その後の予定は街を歩いて決めるのが18歳からのスタイルだからだ。
予定のある旅と言う初体験に柄にもなくワクワクしながらタクシー乗り場で10分ほど待つとタクシーがやってきた。
扉を開けタクシーに乗り込むと
Hello How aru doing?
と気さくに声をかけて来た、ドライバーは50歳前後の中国系のシンガポール人男性だった。
私はIm good thanks!
と答え、スマホの画面の見せた。
行き先である友人の働いている美容室までは20分程の距離だったが、車中、ドライバーは気さくに話しかけてくれたので退屈せず目的地であるBras Basah (ブラスバサ)へたどり着いたのを覚えている。
タクシーを降りる時ドライバーがare you an artist?or actor?と唐突な質問をされたので私は笑いながらNo Im just backpacker nowと答えた。
するとYou look like star so
you can be!と笑顔で返されたのである。
お世辞と分かっていても素直に嬉しかった。
タクシーを降りるとシンガポールも笑顔で私を迎え入れてくれたような素敵な月の綺麗な夜だった。
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