SS モンスター闘技場


 モンスターを治療できることがわかったので、俺はさらなる事業の拡大に踏み切ることにした。

 

 モンスター闘技場、というのがある。

 そこではテイマーたちがモンスター同士を戦わせて、競わせてお金を稼いでいるのだが。

 モンスターがいったん傷つくと、かなり回復に時間がかかる。

 ポーションなんかをつかったりもするのだが、致命的なダメージを受けると、そのあいだモンスターを試合に出せなくなるのだ。


 そのため、一人のテイマーが闘技場で稼げる金には限界がある。

 回復魔法をつかっても、ふつうはなかなか腕をはやしたりはできないからな。

 モンスターが試合で欠損してしまった場合、テイマーとしてはかなりの痛手になる。

 その場合は新しく別のモンスターを用意したりしなければならず、コストがかかるのだ。


 だが俺の回復魔法をつかえば?

 そのへんのコストをいろいろと踏み倒すことができる。


 というわけで、俺は奴隷市場にきていた。


 今回買うのは、欠損奴隷ではない。


 今回買うのはテイマー奴隷だ。

 モンスターをテイムすることができる能力を持った奴隷を、数人買うことにした。

 能力を持っている奴隷は値段が高いが、これは先行投資だ。仕方がない。


 買った奴隷の名前は、ジム、キュロス、エクシスの三人だ。


 三人にはテイマーチームとして動いてもらう。

 まずは三人を、冒険者組と組ませて、クエストに出す。


 そして、クエストの中でめぼしいモンスターをテイムしてきてもらった。

 これで、闘技場に出る準備はばっちりだ。


 それから、テイムしたモンスターで、闘技場にエントリーさせる。

 これでこれからは、闘技場でのファイトマネーが俺のもとにも入ってくることになる。


 もちろん、奴隷にも報酬はかかさない。

 ドミンゴたちと同じく、彼らテイマー組も、ファイトマネーの2割を小遣いにあてさせる。

 ちなみに彼らの生活費や、モンスターのエサ代なんかは俺もちだ。


 闘技場がはじまって、どんどんと利益がではじめた。

 モンスターがいくら傷ついてかえってきても、俺がすぐに治せるからだ。

 そのため、翌日の試合にはふたたび万全な状態で出ることができる。


 そうすることで、モンスターを使い捨てにしなくても、闘技場で稼ぎ続けることができた。

 しかも、同じモンスターに経験を積ませているから、彼らはどんどん強くなった。

 強くなって、ファイトマネーもどんどん増えていった。


 やはり俺の考えは正しかったようだ。

 闘技場での収入もできて、俺のふところはさらに潤った!

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