破滅フラグしかない悪役奴隷商人は、死にたくないので回復魔法を修行します

第24話 事業をさらに拡大しよう

※今回キツめの性奴隷の描写があります。苦手な方は飛ばしてください。

　◆

　アーデにオーブを渡し、奴隷を大量購入させる作戦は大成功だった。

　今後もっと金が増えれば、他にも信用できる奴隷に任せよう。

　こうやって繰り返していけば、莫大な利益が出るぞ……！

　アーデに渡したオーブ以外にも、まだオーブを余分に買ってあった。

　俺は余ったオーブを、ドミンゴとマードックたちに渡す。

「それでご主人様、これをどう使えばいいんですか？」

「お前たちに、これを預ける。あとは簡単だ。冒険者の素質がありそうなやつらを、奴隷市場で買ってきてくれ。そしてそれを治療し、冒険者として育ててくれればいい」

「なるほど、冒険者ビジネスを拡大するんですね」

「そういうことだ」

　冒険者となる奴隷を増やせば、その分さらに金が儲かるということだ。

　ドミンゴたちはもうかなり冒険者としてもベテランだし、そんな彼らが選んだ奴隷は、きっといい冒険者になるだろう。ドミンゴもさすがに体にもうガタがきていて、あまり多くは戦えない。

　今後はドミンゴとマードックで冒険者クランを管理してもらおうと思う。

　いくつかのパーティを作って、それを指導し、狩りにいかせる。

　そうすることで、利益はうなぎ上りだ。

　◆

【sideドミンゴ】

　俺はエルド様に言われた通り、奴隷市場を訪れた。

　マードックと共に、冒険者奴隷として使えそうなやつを探していく。

　欠損奴隷の中でも、眼が死んでないやつを選ぶ。そういう奴の方が、根性がありそうだ。

　試しに、俺が３人、マードックが３人と、合計６人の奴隷を買う。

　俺の買ったのは、魔法の経験があるやつ、ガタイの良いヤツ。それから目がいいやつ。つまり、俺のパーティと似たような構成だ。目のいい奴にはオットーから弓を教えさせればいいだろう。

　マードックが買ったのは、元盗賊のやつ、元踊り子のやつ、それから剣におぼえのあるやつだ。俺のパーティとは少し違うが、こちらもバランスのとれたいいパーティになりそうだ。

　屋敷に戻って、彼らを治療してやると、とても喜んでくれた。みんな人生にやる気をとりもどし、なんでもやる気になっている。まるで、かつての俺を見ているみたいだった。

　彼らは俺とマードックが主人だと誤解していたので、きちんとエルド様のすばらしさを教え込んでやった。これでみんなエルド様に忠誠を誓っただろう。

　俺はパーティの名前を「エルド様の剣」として申請した。マードックは「紅蓮の騎士団」で申請していた。俺みたいにエルド様にちなんだ名前にすればいいのに……。マードックは俺のパーティ名をダサいと言ってきやがった。許せん。

　ちなみに、俺とマードックがこうしている間、オットーとアカネはまだ冒険者を続けている。俺の代わりに、ギルダという奴隷がパーティに入っている。ギルダは俺と同じくドワーフの奴隷で、ガタイがよく、タンク職をやってくれている。

　おかげで、こうして後継の育成に専念できるってわけだ。

　俺とマードックが育てた冒険者パーティは、みるみる頭角を現した。

　オットーたちのパーティと合わせて、３パーティでクランを結成し、それをギルドに申請した。

　クランを作ると、いろいろと特典を受けれたりして、さらに効率化できるのだ。

　今では俺たちは、冒険者ギルドの中で、ちょっとした一大勢力になっている。

　合同でパーティを組んで、超難関クエストに挑んだりもできるようになった。

　まあ、それはエルド様が許さないだろうけど……。

◆

【sideエルド】

　冒険者事業の拡大は大成功だった。以前に比べて、利益が倍になった。

　この調子で、どんどん奴隷を買って、育てて、冒険者を増やしていこう。

　さて、他にもまだ俺にはやりたいことがあった。

　それは、奴隷娼館の開業だ。

　性奴隷たちを働かせる娼館を作り、それで大儲けしようという作戦だ。

　奴隷といえば、やっぱり肉体労働や雑用だけじゃなく、性奴隷だ。

　うちでも何人かの性奴隷が働いている。

　多くの貴族が性奴隷を飼っていて、その扱いは様々だ。

　奴隷市場にも性奴隷がたくさん売られていて、むしろ一番需要のあるものだった。

　そんな中でも、使い物にならなくなった性奴隷というものがある。

　奴隷娼館なんかで働いていた奴隷が、たまに性病にかかることがある。

　梅毒にかかった奴隷は、欠損奴隷と同じような扱いを受ける。もう仕事ができないとみなされ、ほぼ廃棄処分同然の扱いを受けるのだ。

　他にも、性奴隷はたまに、行為の最中でいきすぎた行為を受けて、壊される（・・・・）ことがある。

　物好きな貴族なんかが、勢い余って性奴隷の四肢を欠損させてしまうことがあるのだ。

　そんな奴隷は、もちろん使い物にならないから、欠損奴隷として扱われてしまう。

　俺はそんな廃棄された奴隷たちを、奴隷市場で探し回った。

　幸い、どんなものでもあるのがこの市場だ。

　梅毒にかかったり、四肢が欠損してしまった性奴隷ばかりを集めた専門の店があった。

　俺はそこで何人かの奴隷を買って、治してやることにした。

　一応自分にいいわけをしておくと、俺はあくまで、性奴隷を治して再度彼女たちを働かせるだけだ。

　別に、性奴隷でない奴隷を、むりやり性奴隷に落したりはしない。

　まあ、別に奴隷がどうなろうが俺の知ったことではないがな。わざわざ性奴隷じゃないやつを使うのも面倒だしな。慣れているやつのほうがいいだろう。

　それに、俺は奴隷を買う前に、性奴隷として働く気があるかどうかを確認しておいた。せっかく治しても性奴隷はいやだと言われたら、めんどうだからな。

　せっかく娼館を経営するんだから、やる気のあるやつをそろえたい。なるべくノリノリでやってくれる奴隷のほうが客も喜ぶだろう。

　俺は見栄えのよさそうな奴隷を、何体か買って帰った。そして、梅毒を治療し、四肢の欠損を治してやる。

　回復魔法が梅毒にもきくのか不安だったが、完治できたみたいだ。

　奴隷たちはみんな、これからまた性奴隷にされるというのに、俺に感謝して泣きじゃくった。

　おかしな話だ。俺はこいつらを搾取し、利用するために治しているというのに。

「ご主人様、ありがとうございます！」「ゴミ同然だった私たちに再びチャンスをくださり、本当に感謝します！」「もう働けないものと思っていましたが……ご主人様のためならなんでもやります……！」

　俺は治した奴隷たちを従業員とし、奴隷娼館をオープンさせた。奴隷娼館は、うちの商館の横にオープンさせた。奴隷を買いにきた貴族たちが、利用できるようにするためだ。もちろん、娼館で気に入った奴隷はそのまま買って帰ることもできる。

　性奴隷を専門に扱う部署はうちにはなかったから、父もたいそう喜んで、俺の手腕を褒めてくれた。

　ちなみに、奴隷娼館の店名は「奴隷性♡ドレイン」だ。ピンク色の派手な看板を作った。

　娼館へは、金さえあれば貴族以外にも、一般の客も入ることができる。予算に応じて、いろんなランクの美人をとりそろえているから、すぐに店は大人気になった。

　その理由のひとつは、みんなテクニックがすごい奴隷が多いからだ。というのも、うちで働いているのはみんな元性奴隷経験のあるやつばかりだ。しかも、性病になるまでに、いろんな経験をしてきている。だから百戦錬磨の猛者が多いのだ。

　それだけじゃない。中には、欠損プレイOKな奴隷までいた。まあ、その分金はいるんだが……。あとで俺に治してもらえれば、多少の痛みは我慢するそうだ。さすがにそれは俺もドン引きだが……。というか、貴族にそういう需要があるのがドン引きだ。

　そこまでじゃなくても、かなりプレイの許容範囲が広い奴隷が何人かいた。みんなどんなことをされても、あとで俺に治してもらえると思っているようだ。まあ、商品管理はちゃんとするんだけど。だからといって、もっと自分を大切にしろよ……とちょっと思わんでもない。奴隷に自分を大切にしろよってのも、変な話だが。

　ちなみに、性奴隷たちにも、ちゃんと給料を支払うことにした。ドミンゴたちと同じように、利益の２割が彼女たちのものになる。休日や、暇なときはそれを自由につかってもらってかまわない。これも、奴隷たちのモチベーションアップのためだ。中には化粧品や衣服につかって、さらに客をとろうとする奴隷もいた。

　もちろん、彼女たちの普段の食費や、生活に必要なものはその限りではない。食事はすべて支給される。それはドミンゴたちも同じだ。つまり、利益の２割は完全な小遣いとして使える。このシステムは、奴隷たちのモチベーションにかなり寄与した。

　モチベーションアップといえば、男の奴隷たちにも、娼館を利用するものたちがいた。特に、ドミンゴたちはかなり稼いでいるから、金銭的にも問題ない。他にも俺の奴隷は、例の２割小遣いシステムで、金を持っているやつも少なくない。金を貯めては娼館に通うものが出だした。

　娼館は、奴隷たちのモチベーションアップに、かなり役に立ってくれた。

　だが、中には給料が少なく、いくら貯めても、なかなか娼館には行けないものもいる。俺はそんなやつらのために、低価格帯のコースも用意しておいた。買った性奴隷たちの中には、おせじにも見た目がよくないやつらもいる。

　顔がただれていたりした中で、体つきだけで買ったはいいものの、治してみればとんでもない顔だったりするやつもいたのだ。そういう需要の少ない性奴隷なんかは、かなり安くで手に入るようにしてある。

　おかげで、うちの娼館はいろんな層から大盛況だ。

　さて、いろいろと事業を拡大して、俺は大金持ちだ。

　これからも、放っておくだけで金が生まれ続ける。経営や補充なんかも、ほぼ奴隷たちに任せて、自動化してあるしな。

　これで俺は安心して、学園に通えるというわけだ。

　そう、忌々しい勇者アルトが待ち受ける学園に――。

　やれることはすべてやった。できる手は全部打った。

　これで、破滅フラグ回避は確実……だよな……？

　とにかくなにがあっても、俺は対応できるつもりだった。

　だがまさか、あんなことになるなんて――。

　――つづく。

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【あとがき】

　これにて第一部終了です。次回からは第２部の学園編がはじまります。

　ついに原作主人公が出てきたり、いよいよ物語が大きく動き始めます！

　ここでみなさんに大事なお願いがあります。

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