《 第1話 》 私

私は自分を好きになることなく、

この生涯を終えるものだと思っていた。

自分らしくないとか、自分が信じられないとか、

行動した後にそんな感想を持たずに生きられる日がくることなんて、ないと思っていた。

テストの点数や成績だってそうだ。

自分に失望しないような結果や成果は訪れない。

自分を見損なわないでいられることや、自分を褒めたいと思えることなんてない。

だけどその日の朝、私はこの心に輝きを持てるようになる。

新しい学年になってこの春、

私は今までよりももっと自分に失望した。

公立の中学校に努力して入学したものはいいものの、私は今年受験生にも関わらず、

未だにやりたいことや将来の夢がない。

周りの友達や同級生たちは、次々に進路を決めて来年の高校受験への準備をスタートしている。

私はというものの、やりたいことも夢もないのでまだ志望校すら決められずに、

休日や放課後などに我が家系、

先祖代々が受け継いできた明神寺という寺を

祖母と一緒に管理している。

'' 巫女 ''

これが、進路の決まっていない今の私にはとても効率の良いものだった。

多く稼いだり、周りの友達たちと同じようにビジネスなどにはつけないが、私は祖母と二人暮らしなため、将来的には祖母を支えていかなければならない。

「なら巫女になる」そう決めて平然といられたのも、

たったの二日。祖母はこれに大反対。

確かに私でも共感する。

しかしこれまで自分に失望しかしてこなかった私が、自分の将来のために何かを考えて決めるなんて無理だ 。

いっそのこと開き直って何も考えず、

緊張感を持たずに余裕を持って

この最後の中学校生活を楽しもうと決めた。

未来のことなんて考えなくていい、

今を自由に生きればいい。

進路だなんて、 私には明神寺がある。

それでなんとかなる。そう思った。

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