物心ついた時から男子校...新たな高校生活は実質異世界転生!?

@Petlal

4月1日

ジリジリリリリ...

2個目のアラームと共に譲は布団を捲る

 引越しのダンボールが傍に見え、まだ陽の指さない部屋の中にはまるで春とは思えない寒さが漂っている。壁にはクリーニングに出してそのままの制服が掛かっている。

「あと2時間...」

 事前の通学の試しで1時間ではギリギリ高校に辿り着けないと分かっており、用意はゆっくりしたい譲だが何故か焦りはない。人生の新たなスタートが時間に追われ始まるのもどうかという考えが過ったが寝起きの譲にとってそんなことは思考するには値しない。落ち着いた様子で着々と準備を済ませ鏡の前に立ち、最終確認をする。引っ越して未だ1ヶ月も経っていないのに汚れが目立つつのは今の彼が気にする事ではなかった。


「行ってきます」

 誰もいないにも関わらず準備をする間に暖かくなった我が家で呟き譲はドアの鍵を閉めた。


 やっと慣れたばかりの電車に揺られ最寄駅を降りると、そこは自分と同じ服を着た同じ門をくぐるであろう未来の仲間で溢れかえっていた。中学時代のものであろう友達と話しながら坂を歩く者。周りをちらちらと見ながら一定の距離を保つ者など。様々な感情を持ち新たな学習の場に向かう彼らを見て、合格を掴み取った2月以来一度も感じることのなかった震えを感じた。

 

彼らには共通点があった


「多...くね...?」


譲の目に映っていたのは、まるで異世界転生でもしたかのような女学生で溢れた通学路であった...


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