エロゲー大好きな俺が新作エロゲーの世界に主人公として転生したのでメタ読みでヒロインを攻略したい
だんぼーる
第1話 エロゲーの世界
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ジリジリと鳴り続ける目覚まし時計にようやく意識が覚醒し半ば無意識的に手を置く。
そして、抱いたのは微かな違和感で。
〈
「...あれ?俺って目覚ましはスマホのタイプじゃなかったっけ?」
まだ夢でも見ているのだろうか。開ききっていない目を擦りながら辺りを見回す。
男の部屋の筈なのに妙に綺麗な部屋だ。
先程まで寝ていたベットに、学習机、本棚、知らないキャラクターのフィギュアなど、他には...
〈優斗〉
「...これは!『あまラブ』のポスター!?」
『あまラブ』通称『あま♡あまラブこれくたー』
俺もプレイしたことはあるが、めちゃくちゃキュンキュンしたし
じゃなくて。ってゆーかなんでそんなもんが...?
というかさっきから思ってたがここどこ!?
〈???〉
「ゆう
1階から声がした。ゆうにぃー...ってもしかして俺じゃないよな?
だって、俺の名前は––––あれ、覚えてねぇ。何故だ?
...とりあえず今は後回しだ。状況を整理しよう。
俺は都内の私立男子校に通う高校3年生で、親の仕送りで1人寂しくマンション暮らしだったはず。
当然、妹も幼馴染も居ないし、1階からかわいい女の子の声が聞こえてくるなんてことはない。
いや、そもそもこの部屋は俺の部屋じゃないわけで...やべぇ、頭こんがらがってきた。
俺はようやく完全に目が覚め、もっと早く気付くべき違和感に気付いた。
まず視界が狭い...というより前髪が長い。具体的には、少し目に当たってるくらい長い。
たった1日でこんなに髪が長くなる訳がない。
それになんだこの手...足も。普段よりも長く感じる。服だって知らないもの。
そうだ鏡...って無いな。スマホでいいや。
俺はベットから飛び降りてスマホを探す。
あった...ってこれ俺のじゃねぇ!誰のだよ!
〈???〉
「ちょっとゆう
スマホを放り投げようかとしたその時、ドアのすぐ向こうから声が聞こえた。
〈???〉
「入るねーってあれ!起きてたの?めずらし!今日は雪が降るね」
ノックも無しにドアが開いてその人物と目が合う。
最初に言いたいこと、聞きたいことがたくさんあったはずだ。でもそれは彼女の容姿や美声にあてられて声もでなかった。
銀髪に赤眼、腰まで伸びている長いストレートヘアーに、規模の小さめなポニーテール、そして何より...
頭の上からぴょこんと出た特徴的なアホ毛。
それは俺が今まで生きてきた人生の中で、間違いなく一番美しい容姿で。
そのまま上から下に目線を下げていくと、急に"すとんっ"と足までいった。...女性的な膨らみは0に等しかった。
それでも可愛いのは間違いない。
〈???〉
「おいこら今なに考えていやがった?」
〈優斗〉
「な、なんでもない」
それに、何故か俺はこの子を見るのは初めてじゃなかった。
だって...君は––––
〈優斗〉
「...
本来、ここにいるべきでない存在。
この子は...俺の好きな、『あまラブ』を制作したサークル..."ういんどーそふと"の新作エロゲーのヒロインだ。
うん、やっぱり。自分でも信じられないが、絶対見間違いなんかじゃない。
来年発売予定のエロゲー、PVしかまだ出てないが、高3の17才だった俺は絶対買うと心に決めていて、ヒロインの名前を覚えていた。
因みにエロゲー好きを豪語してはいるが、全年齢ゲーム機からエロ要素の無くなったエロくないエロゲーしかプレイしたことはない。
〈
「え...なに急に改まって。寝ボケてるの?ゆう兄ぃもしかして壊れちゃった?いい眼科紹介しようか?」
〈優斗〉
「...せめて眼科じゃなくて精神の方にしてくれ」
どうだ...?と俺はエロゲで得た渾身のレスバをする。恐る恐る彼女の反応を待つ。
〈如月夏〉
「うん!いつものゆう兄ぃだ!愛してる〜♡って、時間やばいの!早く着替えてご飯食べに来て!」
〈優斗〉
「わかった」
そう言うと如月夏が急ぎ足に部屋を出ていく。
俺はほっと胸を撫で下ろした。
そして再度スマホを手に取り、ロックはかかって無かったのでカメラ機能を立ち上げた。
つまり、そういう事だった。
自撮りに切り替えた画面には、元の俺とは似ても似つかない顔があった。
それは、あのPVでチラッとだけ見えていた主人公と同じ顔で。
〈優斗〉
「新作エロゲーの主人公に転生したぁぁぁ!?」
現実では絶対にあり得ないし、馬鹿げている。でも夢...というわけでもない。
...あと前髪で隠れてるだけで結構イケメンだなコイツ。いや、俺。
〈如月夏〉
「ちょっとゆう兄ぃ遅いー!!」
〈優斗〉
「ひゃい!!」
かくして俺は、死んだ覚えもないままに、このエロゲーの世界に転生したのだった。
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