第131話 キレイ好き

私はとってもキレイ好き。

 

部屋の中はもちろん、体だってキレイに保ちたいから、朝と夜に必ずシャワーを浴びる。

休日は昼間も浴びることだってあるくらいだ。

 

友達からは潔癖症って言われることもあるけど、さすがにそこまでじゃないと思う。

 

ただ、私は相手にも最低限のキレイを求めてしまう。

友達の部屋に遊びに行ったとき、散らかっていたらつい片づけてしまうくらいだ。

 

中にはそれを嫌がる人もいる。

そういう人とは友達にはなれない。

というか、少し距離を置いていると、自然とあっちから連絡を断ってくる。

 

まあ、部屋が汚いってことは汚れを気にしない人ってことだから、結局、お互い嫌な思いをするだけだろう。

だから、そういう人は友達を続けない方がお互いのためだ。

 

もちろん、友達だけじゃなく、彼氏にはもっと気を付けてもらう。

キレイ好きか、私が部屋を片付けても文句を言わない人じゃないと、付き合うのは無理だ。

 

幸い、今の彼氏は最低限、部屋をキレイにしてくれるし、私が掃除しても文句を言ったりしない。

もしかしたら、ここまで合う人は初めてかも。

 

なんだかんだ言って、20年以上、彼氏ができなかった私。

この人となら結婚を考えてもいいかなって思う。

 

それに体を許しちゃってもいいかなって。

実際、数ヶ月前くらいからそれらしいアピールがある。

 

今までそれとなく躱してきたけど、そろそろいいかなって思っている。

今度、彼氏の家に泊まりに誘われているから、そのときにいい雰囲気になったら……なんて。

 

そんなことを考えていると、なんだかんだいって、期待と不安が混じったような変な感覚がする。

そして、彼氏の家に泊まる前日。

私は彼氏が他の女の人と腕を組んで楽しそうに街を歩いているのを見かけた。

 

次の日。

彼氏の家に泊まりに行った際、いい雰囲気になった。

 

それでも彼氏はがっつくことはしないで「シャワー浴びる?」って聞いてきてくれた。

私はそれを断った。

 

そして、行為が終わった後、私はシャワーを浴びた。

 

終わり。















■解説

語り部の女は潔癖症と思うくらい、キレイ好きである。

それは人間関係でもいえることで、彼氏が浮気をしていることも許せない。

そして、なぜ『行為の前』にシャワーを浴びなかったのか。

それは『汚れること』がわかっていたから。

さらに『行為』とは『殺す』ということ。

語り部は彼氏を『殺した後』にシャワーを浴びた。

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