第128話 留守番電話
うちには、今では珍しく固定電話がある。
ネット回線を引いたときに、一緒についてきたのだ。
もちろん、私はスマホを持っているので、固定電話にかかってくることはほとんどない。
かかってくるとしたら、母親くらいだ。
何度もスマホの番号を教えても、固定電話の方にかかってくる。
なんでも、スマホの番号は覚えきれないのだそうだ。
最近は仕事が忙しくて、ほとんど家にいないので、帰ってくると大体、いつも母親から留守番電話が入っている。
だから、帰ると留守番電話の再生ボタンを押すのが癖になってしまった。
疲れて家に帰った時に、母親の声を聞けるのはなんだか安心する。
今日も玄関のカギを開け、リビングに行き、固定電話のところへ行く。
だけど、今日は留守番のボタンが光っていない。
最近は毎日のように留守電が入っているのに、今日は忙しかったのだろうか?
そう思っていると、固定電話に電話がかかってきた。
出てみると母親だった。
今日は電話をするのが遅くなっただけなのかと思ったら、母親が「夕方の件、どう?」と聞いてきた。
何のことかと聞くと、年末年始にいつ帰ってくるかを教えて欲しかったらしい。
今年は年末年始も仕事があり、帰るのは新年になってからだと伝えた。
電話を切った後、留守番電話の再生ボタンを押してみる。
すると、母親の言うように、「年末年始、いつ帰ってくるの?」という伝言が入っていた。
終わり。
■解説
語り部が家に帰ってくる前に、誰かが侵入して留守番電話を聞いた可能性が高い。
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