第125話 フリーマーケット

とても貧乏な家族がいた。

父親は多額の借金をしているため、月々の給料を返済するとわずかなお金しか残らない。

 

母親もパートで必死に働いているが、一向に生活は良くならない。

そんな両親を持つ、子供は我がままを一切言わず、まだ5歳にかかわらず家事を手伝っている。

 

食事も質素なもので、ほぼ水のようなおかゆや、賞味期限が切れた食材などが食卓に並ぶことが多かった。

 

いつもお腹を減らしていた子供は、それでも文句を言わず我慢していた。

そんな我が子を見た母親はいつも心を痛めている。

 

そして、子供の6歳の誕生日の目前、母親はあることを決めた。

 

とても大切にしているものをフリーマーケットで売ることにしたのだ。

母親は子供に、売れればお腹いっぱいご飯を食べられると伝えた。

 

子供はそれを聞いて張り切り、フリーマーケットで元気よく声掛けを頑張った。

その甲斐もあり、買い手が見つかった。

 

その日、母親が言うとおり、子供はお腹いっぱいのご飯を食べることができたのだった。

 

終わり。












■解説

フリーマーケットで売ったのは子供自身。

引き取られた先で、子供はお腹いっぱいのご飯を食べさせてもらった。

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