第92話 スパイ

男はスパイをしている。

今回は中国のマフィアのところへ入り込み、情報を収集するという任務だった。

男は日本人だったが、中国人の血も入っているため、中国人として侵入できると想定して、選ばれたのだ。

 

そこで男はマフィアのボスの娘に取り入り、ボスに気に入られることに成功した。

そして、ついにボスと娘の3人で食事をすることになった。

 

男はボスが料理に手を出すまで決して、手を付けなかったし、料理を取り分けるときも自分の箸を使った。

汁ものや麺を食べるときも音を立てなかったし、お皿に口を付けたりもしなかった。

 

当然、料理をすべて食べきることもせず、ちゃんと残した。

 

そして、いざ、食事が終ろうとしていたとき、突然、男は腹痛に襲われた。

ボスに謝罪をしてトイレへと駆け込んだ。

 

とても綺麗なトイレ。

トイレットペーパーも新品だった。

 

男は個室トイレと言うこともあり、思わず、一息をついた。

だがトイレを流すと同時に、すぐに気を引き締めた。

 

その日は円満にボスと別れた。

 

しかし、数日後。

男は変死体として発見された。

 

終わり。













■解説

男は中国人ではないとボスにバレたため、殺された。

中国ではトイレットペーパーをトイレに流さず、ゴミ箱に捨てることが一般的。

元々、男は怪しまれていたので、そこでバレてしまった。

腹が痛くなったのも、ボスの仕業である。

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