第76話 ある富豪の我儘

ある男がいる。

その男は莫大な富を築き、世界の半分を手に入れたと噂されるほどだ。

欲しいものをすべて手に入れてきた男は順風満々の人生を送っていた。

 

しかし、ある日。

 

男は肝臓の病気にかかった。

医師からは余命は長くても3年と言われてしまう。

 

男は財力を使い、ドナーを探したが一向に見つからない。

お金を使い、裏から手をまわしても見たが、それでもダメだった。

 

ただ悪戯に時間が過ぎていくことに焦りを感じた男は政府に干渉して、ある法案を決定させた。


その法案とは、選ばれた人間は強制的に臓器移植のドナーにされるというものだ。

つまり、一人が犠牲になることで、多数の人間を救うという仕組みになる。

 

もちろん、国民のほとんどは反発したが、男は財力にものを言わせて無理やり可決させた。

その法案を成立させるために、男は財産のほとんどを使った。

だが、生き延びれるなら安いものだと男は思う。

 

あとは自分に適合するドナーが現れるのを待つだけ。

 

そして、ついに男の順番がやってきた。

 

男は絶望し、この手術の後に政府はこの法案を撤廃した。

 

終わり。















■解説

男はドナー側として選ばれ、臓器を提供することになった。

また、男は財産のほとんどを失っていたため、ドナー側として選ばれることを阻止することができなかった。

そして、この男は周りから相当恨みを買っていたため、ドナー側として選ばれてしまった。

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