第13話 ドローン

ようやく、念願のドローンを買った。

最新の、ドローンとVRが連動しているやつだ。


ドローンの目線で見れるから、本当に飛んでる感覚が得られるって触れ込みで、今、大人気になっている。

なので、手に入れるのに相当、苦労した。


さっそく、VRの機器とドローンを同期させて、飛ばしてみる。 


おおー! 本当に飛んでるみたいだ。


俺はその新しい感覚に、ドはまりして、ドローンを飛ばして遊ぶ日々が続く。


最近は白昼堂々と赤いコートを着た通り魔が出るというニュースがやっていたので、犯人がいないかななんて、軽い気持ちで見回っていたりもしていた。


まあ、見つかるわけもなかったけど。 


そんなある日、俺は物凄いものを発見する。

……物凄いものというより、物凄いスポットだ。



俺のアパートから少し離れたマンション。

その10階に住む、美人のお姉さんが18時になると、着替えをするのだ。


微妙にカーテンが開いてるおかげで、隙間から覗ける。

まさに、ドローンだからこそ、見れるってわけ。


着替えるのを見られるのは毎日じゃないけど、一週間のうち、3日くらいの頻度だ。

規則性はないみたいだから、俺は毎日、決まって18時になるとマンションへドローンを飛ばした。


……今日はいないみたいだ。


ちょっとガッカリして、自分の部屋の方へドローンを戻す。

すると、赤いコートを着た、あのお姉さんの姿を見つけた。



そういえば、あの部屋の中以外でお姉さんを見るのは初めてかも。

散歩かな?

明日は着替えが見れるといいな。


そう思いながら、俺はドローンを回収するために、部屋の窓を開けた。


終わり。















■解説

お姉さんを見てから、すぐに窓を開けたということから、お姉さんは語り部のかなり近くにいることになる。


そして、窓を開けて、ドローンを回収したというところから、お姉さんに部屋の場所も見られたことになる。


そして、「白昼堂々と赤いコートを着て通り魔」をしているのはお姉さんで、返り血を浴びたお姉さんが着替えていた、ということも考えられる。


さらに、もし、お姉さんがドローンに嗅ぎまわられていると思っていたとすると、この後、語り部の元にお姉さんがやってくることになる。

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