泣き虫だった幼馴染(♂︎老舗銭湯の跡取り)の正体がじつは超絶S級美少女だった件〜【むにゅ♡】なおっぱいは世界を救えるのか！？～

スカートの下に隠された秘密♡

　この世界の常識が揺らぐ瞬間とは、まさに今回の俺が直面したことだ……。

「康一、急がないと遅刻しちゃうよ、先に乗って！！　運転手さん、聖胸（せいきょう）女子高等学校までお願いします……」

　息を弾ませ、小走りになる正美のセーラーブレザーの背中を追いかける。

　亀の湯正面に待たせていた一台のタクシー、その後部座席に俺は身体を滑り込ませた。

　準備に手間取りすぎてしまった。通常の交通機関ではとても学校に間に合わなそうだ。岩ばあちゃんの計（はか）らいでタクシーを呼んで貰ったのは正解だ。

　俺たちが通うことになった聖胸女子高等学校は、およそ隣町に位置しているが、

　電車やバスを使うと経路的にかなりの遠回りになってしまう。

　その点、高速道路を使えるタクシーなら充分に始業時刻に間に合う目算だ。

　慌てて亀の湯を出たので忘れ物がないか手元の鞄の中身をチェックする。

　隣の席の正美は窓の外をぼんやり眺めているようだ。

　タクシーに乗り込んでからまったく言葉を交わしていない……。

「正美、大丈夫、もしかして緊張してるとか？　そりゃ俺も不安だよ。いきなり女子校に転校なんてむちゃくちゃなことを言われてさ……。そりゃ親父と一緒に世界を旅していたから転校は慣れっこたけどさすがに急すぎるよな。前の学校の友達に挨拶すら出来なかったよ。あ、佐藤にだけはメール送っといたけど……。今回の転校の件と、偽おっぱいにはだまされねーぞっ、て書いてな」

「僕のおっぱいのこと、メールに書いちゃったのぉ！！」

　正美がもともと大きな瞳をさらに見開きこちらに顔を向ける。

　何でそこに反応するのか！？　今日の正美は何だか変だぞ。

　女子高生の格好に慣れていないだけじゃないな。

　何なんだ……！？　妙に挙動不審なヤツだ。

「で、佐藤君から返事は来たの……」

　あれれ、急にしおらしくなったり、本当にどうしちまったんだ……。

「ああ、すぐに返事があってさ、奴は俺が転校することに全然驚いてないし、逆にせいせいするってさ。それどころか今度、誰か聖胸の女の子とお知り合いになったら紹介してくれって……。　まったくアイツらしいよな」

「僕のおっぱいの件は……！？」

「はあっ！？　偽物おっぱいのことか……。　俺が男子禁制の名門女子校に転校するって部分のみに食いついて他にはまったく触れてねーよ」

「そ、そうなんだ、良かったぁ……」

「まあ、真面目な話、今回の件が落ち着いたら、ゆっくり三人で集まろうぜ……」

　そうだ、俺と正美、そして佐藤、離れても仲間なのは変わらない。

　前の高校で本音で話せる友達はこいつらだけだもんな……。

　親父が亡くなってから抜け殻みたいになった俺は、高校でも他人と壁を作っていたんだ。正美は幼馴染みだからもともと俺の理解者だったけど佐藤は違った。

　あいつとの出会いは強烈だったな……。

　高校近くの本屋、成人向けコーナーで突然、あいつから声を掛けられたんだ。

　そう、えっちな本のコーナーでだ。

『君、おっぱいが好きなんだ？　ズボンの前がパンパンに膨らんでるよ）ってな具合に。初めて会った奴だぜ、それもえっちな本を片手に声を掛けられて相当面食らったな。

『お前こそ、どっきん真奈美先生でカチカチ山の狸さん状態じゃないのか！？』

　そうそう、俺も負けじと佐藤に突っ込んでやったんだっけ……。

　そして俺達は固い友情を交わしたんだよな、文字通りお互いの切っ先で、　　　青春のともだ○んこをしたことが思い出される……。

　あいつは有害図書で発禁になった【いけない！ルンナ先生】で、

　数学の公式を覚えたってほど筋金入りのおっぱいフェチだったな。

「そうだね、佐藤君にもよろしく伝えてくれるかな、康一」

「ああ、今回の調査が終わったら必ず学校に戻ることも伝えておくよ」

　俺達が聖胸女子に通う調査項目の一つだ。ある人物に接触すること。

　そして最終目的はその人物をこちらの味方に引き入れることが出来れば完璧だ。

「岩おばあちゃんが話してたことだよね、康一にはかなり負担を掛けるけど僕も一生懸命サポートするから頑張ろうよ！！」

「今回の案件は一筋縄では行きそうもない、正美に頼みたいのは俺の解毒だけではないんだ……」

「じゃあいったいどうするの！？　康一の、おち、いや、棒が大変なことになっちゃうよ」

　思わず単語を口にして思い留まる。言い直す仕草にも羞恥心を色濃く滲ませた。

　そして正美は不安げな表情になる。その理由（わけ）は俺の真意を測りかねていたからだ。

　今、分かることは断片的だが岩おばあちゃんいわく、亀の湯の呪いにより俺は既に発症しており長くて一年、早い場合は数ヶ月で相棒が腐り落ちるそうだ

　。

　同時に俺の命もない……。

　応急措置的な解毒方法はおっぱいを見ることで呪いの進行を遅らせることが出来る。だが最低でも一日一回はおっぱいを見なければいけない。

　正美とにゃむ子さんが尽力（じんりょく）してくれて数日は解毒されているが、ここからが呪いのやっかいなところだ……。

　次回に続く。

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