No title

門倉恭子

サンドバッグ

殴った。

そして罵声を浴びせた。

普通の人間なら耐えられないような言葉と暴力。


最近ようやく言い返すようになった君は言った。

「あなたは、殴っても殴って壊れないサンドバッグが欲しいの?」


うるせぇ。

そう言ってまた殴った。

サンドバッグなんだから、黙ってよ。


君なら、耐えてくれるって思ったんだ。

信じてたんだ。

どんなに突き放しても、私にはあなたしかいませんって顔して、情けなくまた擦り寄ってくるって。


壊れないわけないよね。

弱虫の君を。

ひとりぼっちの君を。

守ってあげたいと思ってた私が一番傷付けてた。


ごめんね。

謝った時にはもう遅かった。

ボロボロの背中はもう二度と振り向く事はなかった。


本当は今すぐに死ぬべきなんだろうけど。

悪いけど私はまだ生きてるよ。


「どうか、幸せで。」

手を合わせて、良い人になったつもりでいる。


せめて君にはもう迷惑掛けないようにする。

君無しじゃ生きていけないくせに。

残念なことに、まだ生きてるよ。



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No title 門倉恭子 @5ALPHGJU

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