③教会のお手伝い――①
「教会のお手伝い?」
「ええ。どうかしら?」
神様の信仰を重んじるミッションスクール。
図書室へ向かおうとしたアサギは、廊下でシスターに呼び止められました。次のお休みの日に一緒に教会のお手伝いに行ってもらえないか、と。
「ゴールデン
「庭のお掃除……ですか」
「ええ。アサギ君なら学校のお掃除もいつも真面目にしてくれてるからどうかなって。この辺りと違ってあの街はとっても栄えているし、たまには行きたくなったりしない?」
「僕はあんまり……騒々しい場所よりも、のどかな場所の方が好きですし……」
アサギはうつむきました。教会のお手伝いが――お掃除が嫌なわけではありません。ただ、学校がお休みの日は、できれば森の奥のログハウスで過ごしたい。家の中の家事や料理にめいっぱい時間を使って居心地のいい場所にしたい。毎日働いて学校に通わせてくれている兄のためにも。
「そうそう。お手伝いに参加してくれたら、神父様が何かお礼をくださるそうよ」
「お礼……?」
「ええ。もしかしたらおやつ代くらいは稼げるかもしれないわね。教会って意外と儲かるらしいから」
「え! 教会のお手伝い、アサギ君も行くの⁉」
長いココアブラウンの髪を揺らして、教室から女の子が飛び出してきました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます