③教会のお手伝い――①



「教会のお手伝い?」


「ええ。どうかしら?」


 神様の信仰を重んじるミッションスクール。

 図書室へ向かおうとしたアサギは、廊下でシスターに呼び止められました。次のお休みの日に一緒に教会のお手伝いに行ってもらえないか、と。


「ゴールデンがいで教会を営んでいる神父さんがね、私の知り合いなの。教会の庭のお掃除をお願いされたんだけど、私一人じゃ難しそうだから、一緒に手伝ってもらいたくて」


「庭のお掃除……ですか」


「ええ。アサギ君なら学校のお掃除もいつも真面目にしてくれてるからどうかなって。この辺りと違ってあの街はとっても栄えているし、たまには行きたくなったりしない?」


「僕はあんまり……騒々しい場所よりも、のどかな場所の方が好きですし……」


 アサギはうつむきました。教会のお手伝いが――お掃除が嫌なわけではありません。ただ、学校がお休みの日は、できれば森の奥のログハウスで過ごしたい。家の中の家事や料理にめいっぱい時間を使って居心地のいい場所にしたい。毎日働いて学校に通わせてくれている兄のためにも。


「そうそう。お手伝いに参加してくれたら、神父様が何かお礼をくださるそうよ」


「お礼……?」


「ええ。もしかしたらおやつ代くらいは稼げるかもしれないわね。教会って意外と儲かるらしいから」


「え! 教会のお手伝い、アサギ君も行くの⁉」


 長いココアブラウンの髪を揺らして、教室から女の子が飛び出してきました。

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