〜本章#20〜

 本当の花子が首をゆっくりと横に振る。次の瞬間、2人はどこからか出現させた火を使って戦い始めてしまった。本当の花子のほうの火は黒く、優勢に見えた。

 間違いなくこの戦いは本当の花子の勝ちだった。こっちの花子さんは攻められ続け、守る事しかできなくなっていた。黒い火に飲み込まれそうになりながら、急に花子さんが大声を出した。本当の花子に聞こえるまで何度も同じことを叫んでいた。

「ごめんね!」

 それを聞いても、本当の花子は攻撃を止めなかった。笑っている。その不気味な笑い声は大きくなっていき、黒い火もどんどん強くなっていた。それでも花子さんは謝り続けた。

「ごめんね! 助けてあげられなくてごめんね!」

 2つの火が一瞬で消えた。本当の花子の様子がおかしい。体が強制的に男の姿に戻ろうとしていた。

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