〜本章#18〜
僕は「違う!」と怒鳴って、男に写真の裏を見せた。『元気の素 ママとみゆより』という字を読んでも、男の意志は変わらなかった。
男はかるたを持つと、愛おしそうにそれを見ると口に入れ、おいしそうに食べてしまった。飲み込んだと同時に、男は後ろ向きに倒れた。乗っ取りが始まったのだとわかった。
「再生が速いから2人とも一つの体に閉じ込められてる。共有だけど実質本当の花子の乗っ取りになると思う。ありがとう翔。これで勝てるかもしてない……」
花子さんが隣にいた。2人で男に近づき、顔を見た。目が開いていた。
「変身できない。」と男が言っている。立ち上がって、また同じことを繰り返し言った。声は男のものだったが、立ち振る舞いは少女のようだった。自分の顔と、体に触れて、男は悲鳴を上げた。
「それだけのための千年……」
僕はそう呟いた。
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