第35話 シールド検証会
探索は順調に進むが、ゴブリンとスライムしか出会わない。
スライムに関しては、最初のダンジョンで戦ったやつよりもさらに弱いやつである。
―――――――――――――――――――――――――――――――
スライムLV1
HP0/5
MP0/0
攻撃方法:体当たり
弱点属性:炎
解体時取得物:スライムの核
解説:不定形のゼリー物質。脅威ではないが、油断すると痛い目を見る。
――――――――――――――――――――――――――――――――
ここまで来るのに倒した魔物はゴブリンとスライム10体ほどだ。
ソードスラッシュで一撃死するため、脅威という脅威ではない。
罠らしい罠もないし、迷路もそこまで複雑なものが構築されているわけではなかった。
「Gランクだと余裕とまでは言わないが、苦戦はしないですみそうだ」
「ですね。わたしも両親からダンジョン探索の大変さは聞きかじってましたので、もっと大変かと思ってました。ですが、ヴェルデ様の能力がずば抜けすぎてて、このように問題なく探索できていると思います」
「ボスモンスターも、苦戦なく倒せるといいな」
アスターシアと話しながら、通路を歩いていたら広い場所に出た。
入ってきた入口が、生垣によって封鎖される。
「ボスモンスターのお出ましのようだ。アスターシア、これを着てガチャと下がっててくれ」
空間収納にしまっていた影潜りの外套を渡す。
「はい、外套を被って『消えろ』と念じればいいんでしたよね」
「ああ、そうだ」
外套をまとったアスターシアの姿が消え、気配も感じられなくなった。
見えねぇし、どこにいるかマジで分からなくなるな。
さすが、最初のダンジョンで手に入れたエンチャント装備なだけはある。
「さて、ガチャとアスターシアたちは見つからないし、とっととボスモンスターを狩らせてもらうか」
短剣を鞘から抜き、広い場所の中央に視線を向けると、杖を持ったゴブリンの姿が見えた。
杖を持ってるってことは、魔法とか使ってきそうだよな。
こちらの姿を見つけたゴブリンが、口をもごもごと動かすのが目に入った。
「シールド展開!」
守護の小手のスキルを発動させ、淡いピンク色の障壁が俺の周囲を包み込む。
ゴブリンがこちらに向け杖を振った瞬間、炎の矢が発生し、俺に向かってくる。
炎の矢は淡いピンク色の障壁によって俺に届くことなくかき消された。
魔法ダメージカットは正常に動いてる。
スキルアイコンの下のゲージが、5ほど削れたが破壊はされなかったようだ。
「悪いな。俺に魔法は通じないぜ」
魔法が通じなかったゴブリンは焦った様子を見せ、詠唱らしき言葉を連ねる。
新たな炎の矢が俺に飛んでくるが、先ほど同じようにかき消されただけだった。
「いいぜ、もう一発撃たせてやる。こいよ」
ゴブリンを挑発する。
怒気を見せたゴブリンが3度目の詠唱を始め、炎の矢が放たれるが、すぐに障壁に触れかき消される。
4度目、5度目もかき消されていく。
ゴブリンの顔色がドンドンと悪くなり、6度目の詠唱を終えると膝を突いた。
「MP切れか。残念だったな」
展開時間の限度を超えた魔法シールドは、丸い円状の物に戻ると、小手に戻ってくる。
これで再利用可能になるまで、500秒間は使えないっと。
魔法シールドが破壊されるとどうなるか試したかったが、時間が足りなかったようだ。
破壊された時の確認は、別の魔法を使うやつがいたら試すしかないな。
「というわけで協力感謝する」
俺は膝を突いて杖にすがっていたゴブリンを短剣で刺し貫いた。
絶命したゴブリンから飛び出した光の玉が、アスターシアたちが隠れていると思われる場所へ飛んでいく。
ボスモンスターを倒すと、最初のダンジョンと同じように宝箱が現れた。
ずいぶんとみすぼらしい宝箱だけど、やっぱダンジョンのランクが影響するのか?
―――――――――――――――――――――――――――――――
木の宝箱
耐久値:100/100
罠:なし
状態:無施錠
――――――――――――――――――――――――――――――――
鑑定を終え、宝箱を開けると、中には紫色の小さな魔石が2つほど入っていた。
しょぼい……。魔石ってたしか大きさで価値が変わるって話だったよな。
こんな小さいのだと、ほとんど値段が付かないんじゃなりだろうか?
隠蔽されてたエンチャント装備が高く売れないと、滞在費も出なかったりして。
しょぼい宝箱の中身を取り出すと、倒したゴブリンの鑑定をする。
―――――――――――――――――――――――――――――――
ゴブリンシャーマンLV3
HP0/15
MP0/30
攻撃方法:殴打 ファイアアロー
弱点属性:なし
解体時取得物:ゴブリンの角
解説:魔法の力を得たゴブリン。杖を使い魔法を放ってくる。
――――――――――――――――――――――――――――――――
さっき使ってた威力の低い魔法は、ファイアアローだったのか。
まだガチャから出てきたことないが、きっとあるんだろうな。
あとは、使ってた杖が転がってるな。
―――――――――――――――――――――――――――――――
シャーマンの杖
基礎攻撃力:20
属性:なし
特別効果:攻撃魔法の魔法威力+10 打撃攻撃可能
エンチャント:可能
解説:魔法の発動を補助する長さ50cmほどの短い樫の杖。片手装備可能。
――――――――――――――――――――――――――――――――
魔法の威力が上がる杖か。
片手装備なら、いざという時は短剣を使えるし、剣が通じない場合も打撃で殴れる棒代わりになるから、持ってて損はない武器だな。
俺は手に入れたシャーマンの杖を腰のベルトに差した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます