第8話 スキル成長
吠える声が近付いてきたかと思うと、別の生物が暗闇の奥から飛び出す。
熊だ! 熊! ベアーさんが出たっ!
よく見ると、暗闇から飛び出したのは、狂暴そうな長い爪を持った熊であった。
「ガチャ、前に出るな。俺の後ろにいろ」
狂暴そうな熊が接近してきたので、ガチャを後ろに下がらせる。
爪でやられたら一撃死するかもしれんが、この距離だと逃げることも無理っぽいよな。
熊は松明を持つ俺を見つけたことで、こちらに突進してくる。
くっそ、狼に噛まれただけであの痛さだし、できれば接近戦は避けたい。
さっきみたいに魔法でなんとか倒せないだろうか。
突進してくる熊に向け、今度はアイスの魔法を放った。
拳大の氷が手のひらから撃ち出されると、熊の眉間に直撃し身体が凍って動きが鈍るのが見えた。
仕留められないか。でも、動きは鈍ったぞ。これなら、接近戦でもいける!
俺は凍って動きが鈍った熊の胸元に飛び込むと、先ほど手に入れた鋼鉄の短剣をそのまま横薙ぎに斬り払った。
おぉ、剣が軽いぞ。もっと扱いづらいのかと思ったけどこれなら余裕だ!
スキル効果なのか、短剣は非常に軽くて扱いやすい代物だった。
「ガウガウっ!!」
腹を斬られて大量の血を流した熊が怒ったのか、俺に向かって吠える。
そんな脅しでビビるわけにはいかず、手にした短剣を熊の頭に向けて振り下ろした。
振り下ろした刃が熊の皮膚に食い込む瞬間、力を込めると刃筋が綺麗に入り、吠えていた熊の頭部はまっぷたつに斬り分けられ、そのまま絶命した。
今の感触は会心の一撃だろうか……。綺麗に入ったな。
頭をかち割られた熊が絶命すると、はぐれウルフの時よりもまぶしい光の玉がガチャの身体に吸収される。
光がおさまるとガチャを引くための金色コインが、ガチャの身体から零れ落ちた。
「魔物を倒すとコインが手に入るとかいう仕様はありがてぇ。また、成長できる」
ガチャから零れ落ちた金色コインを拾い上げる。
全部で11枚あった。
魔物を倒せば光の玉がガチャの身体に吸収され、光の玉が一定量たまれば新たな金色コインが排出されるということみたいだな。
となると、冒険者とかやって、魔物をガンガン狩って成長していくのがいいかもしれない。
さすが、ゲーマーのツボを付いてくるシステムだ。
「よし、ガチャ。ここにお座り!」
ガチャを引いてもらえると察したガチャが、俺の前に座り込んだ。
手に入れた金色コインをガチャのコイン投入口に入れてやる。
レバーを回し、カプセルを開けると鑑定した。
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ランク:N
スキル名:ファイアⅠ
種別:攻撃魔法
効果:火属性魔法ファイアを発動できるようになる
魔法威力:20
属性効果:火傷(累積ダメージ弱) 弱点属性への魔法威力2倍
クールタイム:20秒
消費MP:5
取得しますか? Y/N
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被った。さすがにノーマルスキルは被るよな……。
これは取得しない方がいいかっていうより、被ったやつは取得するとどうなるんだろうか。
試しで取得してみるか。
効果がなかったら次からは被ったのは取得しなければいいだけだしな。
俺は被ったファイアⅠを取得してみた。
>ファイアⅠからファイアⅡになりました。
おお、スキル進化してるっぽいから鑑定してみるか。
―――――――――――――――――――――
ランク:N
スキル名:ファイアⅠ→Ⅱ
種別:攻撃魔法
効果:火属性魔法ファイアを発動できるようになる
魔法威力:20→40
属性効果:火傷(累積ダメージ弱) 弱点属性への魔法威力2倍→3倍
クールタイム:20秒→15秒
消費MP:5
―――――――――――――――――――――――
威力と特効効果が上がってるようだ。
クールタイムが下がるのも助かる。
被ってもスキル効果が上がるなら、どんどんと取得していくべきだということか。
金色コインの入手法とスキル被りの問題が解決し、俺は倒した熊をを鑑定する。
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ロングネイルベアーLV20
HP0/200
MP0/0
攻撃方法:ひっかき かみつき 突進
弱点属性:氷
解体時取得物:熊の皮 熊の肉 長い爪 骨
解説:ウィンダミアの洞窟に生息する希少種の熊。縄張り意識の高さから洞窟の番人とも呼ばれる。縄張りにさえ入らなければおとなしいが縄張りを荒らすと凶悪化する。
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弱点属性のアイスの魔法で、それなりのダメージを受けたっぽいな。
それと攻撃は、短剣の基礎攻撃力が40、それに剣技向上Ⅰスキル2倍化が乗って基礎攻撃力が80まで上昇。
そこにSTR値20が乗って100まで引き上げられてたはず。
会心の一撃まで含めると、オーバーキルだった可能性もあるな。
近接戦闘するのは若干怖いけど、剣が当たれば威力は申し分ないみたいだ。
まともな防具と防御系を向上させるスキルが手に入れば、近接の方が効率はいいかもしれん。
そのためにも、ガチャ引いて自分を強化しとくか。
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