3話

アポロンからのメールに書いてあった日時、場所に向かった。

「へえ、これは驚いた」

「おい、どっちがハートだ!」

「すみませんね、先輩。ハートを頂いたのは俺です」

 いきなりのケンカ腰のアーサーに苦笑しながら答える。

 オルフェウス・アップル。

 アーサーの士官学校時代の後輩。ナンパ男。

「お前は誰彼構わず女性を口説くことが趣味だろう。私はアポロン様一筋だ! アポロン様のために純潔を守ってきたのだぞ!」

「先輩まだ童貞なんですか~」

「うるさい! 私の初めてはアポロン様に捧ぐのだ!」

 オルフェウスはケラケラ笑っている。

「………………」

 周瑜の興味はフードを被り無言を貫いている者に注がれていた。

「ということは、あなたがダイヤですか?」

 彼は首を振る。

 周瑜は、未だ一言も発しない者の正体の目星は付いていた。

「そうですか」

 軍内において、周瑜ほど情報通なものはいない。

 しかし、それは表側での話。

「あなたは隠密部隊の代表ですか?」

 恐らく、存在すらもごく限られたものしか知らないだろう。

 アポロン軍内の隠密・諜報・内部監査部隊。

 構成員の数、実際の任務、待遇など全ては謎。

 しかし、エース級パイロット、司令官、技術部室長が揃っているとなれば、残りの人選もいくらか予想は付く。

 まさか、普通に目の前に現れてくれるとは思わなかったが。


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