幼馴染が転校してから彼女が出来た。そしたら噂を聞きつけた幼馴染が1人で戻ってきたんだが

アキノリ@pokkey11.1

1、諦めた夢

私は諦めませんから

第1話 夢の続き

羽柴拓人(はしばたくと)には美少女の幼馴染の少女が居た。

俺の事であるが。

そんな幼馴染が中学3年生になった時に連絡先も残す事なく直ぐに転校して行った。


何というか突然の事でまあその。

実家の事もかなり関係しているだろうとは思っていたが。

とにかく連絡が出来なくなった。

何が起こっているのかメッセージを送ったがどうもブロックされていた。


悲しかったが親の意向なら仕方が無いな、と思いながら2年が経過した。

あっという間の2年である。

俺は寂しげに思いながらも一生懸命、県内の県立高校に通っていた。


それから今に至る。

俺は後輩の、友山みう(ともやまみう)と結構親しげになっていた。


茶髪のゆるふわの髪型。

そして前髪を2本のヘアピンで留めている。

それからスタイルも良く幼馴染に負けず劣らずの美少女だった。


どれぐらいの関係性かと言えば。

まあ簡単に言えば手を繋いだりできるぐらいには、だ。

何というか互いに意識している。

もしかしたら告白とかしたら上手くいくのかもしれない、と思いながらも。


もどかしい日が続いていた。

そんなある日の事だが。

俺の前にとんでもない人物がやって来る。

俺は思いっきり見開いてしまった。

それは中山花鈴(なかやまかりん)。


「初めまして」


衝撃的だった。

俺の幼馴染であった少女だったのだ。

愕然としながら俺はそのまま花鈴を見てみる。

俺のクラスに転校してきた花鈴を、だ。

花鈴はやけにクールになっていた。

昔と違う凛とした顔の。


黒髪の長髪。

そして眉を顰める顔。

だけど決してそれを否定しない美人顔。

それから身長の少し高い事。


「なあ。猛烈なスッゲェ美人だな」


「あ、ああ」


横の席の在津智和(ざいつともかず)が俺にヒソヒソで話し掛けててくる。

高校で仲良くなった友人だ。

っていうかそれは今は良いか。

それどころではないのだが。

この街に帰って来たんだなコイツ、と思う。


「それじゃあ中山の席はあそこで良いか。羽柴の後ろな」


「え」


「何か?嫌なのか羽柴」


「嫌ってわけじゃ無いですよ」


担任の元倉あかね(もとくらあかね)が俺に時と目を向けてくる。

俺はその姿に苦笑いを浮かべながら目の前の凛とした顔の少女を見る。

そして凛とした顔の少女はこっちに近付いて来てから後ろに腰掛けた。

っていうか気付いてない?もしや。


「チェ。羽柴の野郎独占かよ」


とか男子達から思いっきり声がするが。

今はそれどころでは無い。

俺は思いながら背後をチラ見する。

花鈴は何事もなかったかの様な感じになりながら教科書を用意していた。

それから俺は前を見る。


「羽柴。仲良くしてやってくれ。お前なら女子の扱いは慣れているだろ?」


「人聞きが悪いっす。元倉先生」


「はっはっは!まあそう言うな。中山の事、取り敢えず頼むぞ」


「はぁ」


いかにも話し掛けるなオーラ出しているんだけど俺の元幼馴染は、だ。

俺は考えながら背後を見る。

するとじっと俺を見ていることに気が付いた。

俺は、な、何かな、と言うが。

直ぐに花鈴は視線を逸らした。

そして、別に、と答える。


「転校初日から嫌われてんなぁお前さんや」


「喧しいわ。在津」


俺はそう言いながら、ザマァない、という感じで見てくる在津を見る。

すると元倉先生が、まあまあ。これから仲良くなっていくんだ、と笑顔を浮かべる。

そして、みんなで助け合おう、と手を広げた。

俺はその姿を見ながら、はい、と返事を柔和にする。

変わらないもんだな、この先生も、と思う。



結論から言って花鈴はかなり昔より絶対に冷たくなっている。

何と言うか、話し掛けるなオーラ、である。

昔はあんなに友達いっぱいだったのに。


こんなに人って変わるもんなんだな、と思うぐらいに。

俺は苦笑いを浮かべながら後輩と食事する為の約束の場所に向かおうとした。

すると、ねえ、と声が。

俺は背後を見る。

腕を組んでいる花鈴が立っていた。


「何処に行くのかしら。貴方」


「ああ。えっと。俺は後輩と食事の約束していてな」


「そう」


教室中が俺達に騒めいた。

それもその筈であろう。

だって俺が初めてだと思う。

クラスで歩み寄った人物は、であるが。

あれだけ冷たく接していた花鈴がこうやって自分から話し掛ける事自体があり得ないのだ。


「後で学校の中を案内してくれるかしら」


「え?それは構わないが」


「それと。用事があって職員室に行きたいのだけれど。一緒に行ってくれるかしら」


「え?」


私じゃ迷うから、と言う花鈴。

俺は、あ、ああ。と返事をする。

その時に在津が、俺が案内しようか!、と言ったが。

冷たく切り捨てられた。

と言うか半分無視だ。

可哀想な在津くんであった。


「貴方に頼めるかしら」


「いや。まあ良いけど。俺以外の他の奴とも関わったらどうなんだ?お前さん」


「嫌」


そんな言葉の後。

今の状況を見てわからないの、とボソッと声がした気がした。

俺は聞き直したが。

いや。何でもない、と突き返された。

そして、じゃあそういう事。頼むわ、と自らの席に戻って行く。

何だってんだ?

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