下読み小説 物語を愛する全ての人たちへ

詩歩子

下読み小説 第一部

第1話 〆切日


 下読み。


 それは小説の応募の運を左右する悪魔の儀式。


 というにはあまりにも度が過ぎる。




 実際私もデビューする前は下読みさんのことを神のように崇めるか、悪魔のように怖がるか、その日の気分でどちらか、だった。


 ただ実際はそんな甘いものじゃない、という普遍性をザ・下読みシスターズは教えてくれる。


 読む量が半端ない。


 こんなに応募者数って多かったかな?


 自分が落選しまくったときはそんなに意識していなかったけれども、こんなに読む量の負担が多いなんて下読みを甘く見ていた。


 箱の中にはたくさんの呪詛が詰まった(応募者の皆さん、すみません)小説にもならない作品たちが受賞してくれ、と言わんばかりに良くも悪くも蠢いている。


 その箱を通るだけで、かつては自分も同類だったけど、腐臭も香りも無限大に漂いそうだ。




 私はじっと箱と格闘した。


 さあ、かかってらっしゃい。


 あなたたちを当選させますから。


 なぜ、ザ・下読みシスターズという訳の分からない名前を付けたのか、というと新米の私と先輩とで付けたから。


 そんな風に何か行事みたいに解釈しないとそんな荒業はできない。


「今日は締め切り日か」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る