赤、青、残骸

雨乃よるる

灰色

あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”


黒ずんだのは目か?

正しい種は芽吹いている

青い景色はない

どこを探してもない

さがさなくて

十字架に根を張ってしまった

正しくない土は狭いとこ

へやでいきができない

反吐が土に還る

かえる

また 葉を食べる

吐く

かえる

また


一秒は流れない

土になる

一粒一粒

ふえていく

いきができない


体はまだあかい

吐いて、はいて、まだあかい

足は埋まってしまった

あかいからだは

せなかから

はいいろはいいろはいいろ


かおはひきつった

めはあいたまま灰色

口はあいたまま灰色

はいいろ

土は

もっとはいいろ

はいいろではないはいいろ


砂を食べてしまった

むせる

手をあげる

つかまった枝に、

つかまえられる

ないぞうだけが

動く うごく

まぜる 中のもの

あかと はいいろ


戸をたたく

とはない

とをける

あしはない

さけぶ

音はない

わたしは

じぶんは

 ない


はいいろのへやに

ただしくないきが

あかを混ぜこんで

くちゃくちゃに

はいってる

あめがふった

あかいあめ

あめがほしかった


ほしかった


ほしかった


もっとはやく

 ほしかった

あおいあめが

 ほしかった

はいいろの

 血を流して

なくなった

からだを

たたいた

あめが

 いたい


気持ち悪かった

人としての自分、

自分の赤い血が。

青い世界に憧れた

灰色のへやに

とじこめられた

上をたたいても

あかなかった

下は土と砂だった

横はとてつもなくせまかった

じぶんはきえて

あかい雨がふって

 じぶんの血だと知って

ないた

 気持ち悪かった

ただただ

 気持ち悪かった










「赤い体で

 青い筆をとり

 灰色に沈んでゆく僕らは、

    やはり

    血に目を背けては

      ならなかったのだろうか」

                  雨乃よるる

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赤、青、残骸 雨乃よるる @yrrurainy

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