第14話 ヒロガルセカイ

全員「エクラノラジオ〜」


冬羽「引き続き特別回ということで生放送でお送りしております『エクラノラジオ』。パーソナリティの霜月しもつき 冬羽とわと」


夏樹「天倉あまくら 夏樹なつきと」


玲「宮秋みやあき れいと」


日向「春風はるかぜ 日向ひなたです♪」


冬羽「そろそろエンディングのお時間ではありますが、ここでリスナーの皆さんにé4clat(エクラ)から重大発表があります。では、夏樹。発表の方をお願いします」


夏樹「おう! 任せとけ。じゃ、発表されてもらいます。この度、é4clatは」


 (♪ここでドラムロール)


夏樹「3D化が決定しました! よっしゃ」


日向「やった〜、って夏樹くん喜ぶの早すぎ」


玲「そう言う日向も、台本上では夏樹の発表の後にSEが入ってから話す筈だ」


日向「わ。そうだったね。ごめんごめん。

 それじゃあ、歓喜のSEどうぞ」


 (♪歓喜のSE)


冬羽「本当に鳴るんだ…。

 じゃなくて改めて。夏樹からの発表があった通り、é4clatメンバー全員の3D化が決定しました。お披露目の予定については、もう暫くお待ちください。

 ということで、私達も先日聞いたばかりではありますが、今の率直な気持ちをお話していきたいと思います。

 まずは日向。初めて3D化を聞いた時、どうだった?」


日向「嬉しい! やった〜! って感じかな。だって、念願のダンスがやっとお披露目出来るんだもん」


冬羽「日向はデビューからずっと言ってたよね。早く皆んなにダンスを見せたいって」


日向「うん。ダンスは僕の好きなことで特技だからね。夢が叶って本当に嬉しいよ。

 3Dお披露目に向けて、これから沢山レッスンして、みんなにもカッコ良くて可愛い僕を魅せてあげるから、ワクワクしながら待っててね。

 お次は〜〜玲。今のお気持ちをお聞かせください」


玲「あぁ。3D化も嬉しいが、まずは改めて、チャンネル登録者数10万人。感謝する。

 活動を始めてから半年も経たない内に10万人と3D化を果たすことが出来たのは、事務所の先輩方が築いてきた歴史、そして、ひとえにリスナーの皆からの多くの声援、支援があってこそだ。この点については感謝してもしきれない。

 今後、3D化をすることでリスナーの皆には伝えずらかった表現が伝わるようになり、イベント出演の機会も増えるだろう。これに関して、我々にとって非常に有り難いことではあるが、一部のリスナーの中には、もしかしたら『遠くに行ってしまった』と不安に思う者もいるかもしれない。

 しかし、心配は無用だ。俺は。俺達は高みへ昇っていくことはあっても、離れていくことは無い。いつでも心は、皆と共にある。このことをどうか覚えておいてほしい。以上だ」


日向「珍しく語るね〜、玲くん。だ、け、ど。次に話す冬羽ちゃんが可哀想だと思わない?」


玲「それは…」


冬羽「私は大丈夫。寧ろ、玲が言ってたこと、きっとリスナーさんも聞きたかったと思うから」


夏樹「そうだな。玲、ありがとな」


日向「夏樹くんまで、そんなこと言っちゃって。それじゃあ、そんな優しい冬羽ちゃん。

 次どうぞ」


冬羽「う、うん。改めて3D化決定、ありがとうございます。ラジオでは声で伝えているので、3D化はラジオだけを聴いているリスナーさんにとっては、あまり関係が無いことに思う方もいらっしゃると思います。

 それでも3Dになることで私達の表現の幅が広がることは確かです。そこで得たものをラジオを通して、少しでもお伝え出来ればと考えています。

 なので、これからも暖かいご声援をいただけますと幸いです。よろしくお願いします。

 それでは最後、夏樹」


夏樹「おう。3D化、すげぇ嬉しい。これからもよろしく!」


冬羽「……それだけ⁉︎ 他には?」


夏樹「言いたいことは、お前達が言ってくれたからな。そうだなー。

 ──あ。あった。いつも俺達の声を聴いてくれてありがとな。これからも君の応援と期待に応えてみせる。……これでいいか」


玲「さっきよりは、まだマシだな」


日向「まぁ、いいんじゃない。ね、冬羽ちゃん」


冬羽「えっと。夏樹、ありがとう」


夏樹「なんだ。その反応は。ちゃんと伝えただろ」


日向「だって、いっつも『情熱!』って感じなのに、こんなにカッコ良く決めちゃって。そういう所だよね〜」


夏樹「そういう所って一体どうい……」


冬羽「あっ、もう終わりの時間だそうです。

 本日は生放送、お楽しみいただけましたでしょうか。来週は通常通り、収録での放送となります。

 コーナー宛てのメール、感想もお待ちしております。宛先は、概要欄に記載してある『エクラノラジオ』メール投稿フォームからお送りください。

 以上、『エクラノラジオ』。本日のパーソナリティを務めたのは霜月 冬羽と」


夏樹「天倉 夏樹と」


玲「宮秋 玲と」


日向「春風 日向でした」


全員「またね」


* * * * *


「話を途中で終わらせるなー」


「しょうがないよ。スタッフさんから締めの指示出てたでしょ。

 今日の冬羽ちゃん、ナイスMCだったよ」


「ありがとう。ごめんね、夏樹。もっと上手くオチを付けれたら良かったんだけど」


「いや。あれはあれで良いオチだったと思うが」


「オチって、そんな風に片づけるなよー」


 久しぶりの4人回でのMC。緊張しながらも、何とかやり遂げた私は放送終了後ののんびりとした雰囲気を皆んなと過ごすのだった。

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