第5話 輝きのプロローグ
「それじゃ。今度こそ紹介も終わったし、ここからは君たちユニットが目指す輝きについて、詳しく説明していこうか」
一ノ瀬さんが少し真面目なトーンで話し始めた。やはり基本的に明るい人が声色を変えると、とても気が引き締まる。
「そのためには、まず、Project étoile(プロジェクト エトワール)の目的について話さなければいけないね」
プロジェクトの概要や現在も複数の参加、活動をしていることなどは事前に調べていたが、こうやってじっくり話を聞くのは初めてだ。
私は緊張しながらも一ノ瀬さんの話に耳を澄ませる。
「小さくても誰もが眩い輝きを持っている、その輝きを思いっきり解き放てる場所を目指しているのがこのProject étoileだ。
そして、プロジェクトが動き出すきっかけを与え、現在も自ら輝きを証明してくれているのが
彼女は諦めかけた夢をバーチャルの世界から現実にして、叶えた。
だからこそ、今まで積み上げてきた輝きを費やすことなく大切にしていくために、新たな挑戦が必要だと考えた。
それが、プロジェクトでは初となるバーチャルが主軸となる活動とユニット活動だ。
勿論、今後リアルでの活動や声優業を制限するつもりはなくて、しっかり相談をした上で検討していければと考えている。
それこそ、
ただ、さっきも言ったようにバーチャルの世界で。まずは君達の輝きを見つけて思いっきり楽しんで、解き放ってくれ。
それでは。最後にそんな願いを込めた君達のユニット名を発表する。
君達4人のユニット名は、『é4clat(エクラ)』だ」
エクラ……。口に馴染ませるように何度もその名を呟く。発表と同時にチャットに流れたユニット名の表記を確認すると、メンバー全員の人数である4が入っていたり、étoileとの文字の繋がりから期待のようなプレッシャーを感じざるを得なかった。
だけど、期待に応えられるメンバーが揃っていることは事実だ。そして己の個性を活かせるかはそれぞれの判断とユニットがもたらす影響に掛かっている。
私は、やっと自覚する。これは本気で頑張らないといけない。自分自身に怯えることなく、ユニットメンバーに劣ることなく、兄の輝きに負けることもなく。私は絶対に輝きを見つけてもっと大きな輝きにして見せる。
一ノ瀬さんの話を聴きながら、私は揺るぎない誓いを立てた。
こうして、それぞれが覚悟を決めて、輝きを探すユニット。新星『é4clat(エクラ)』は生まれ、いよいよ運命の4月1日がやってこようとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます