第142話 防有鵲巢

せきに カササギ すをつくる

おかに おいしい ノエンドウ 

だれが かのひと たぶらかす

こころ ざわざわ ひっかかる


とおり まだらな しきがわら

やまに きれいな ネジレバナ

だれが かのひと たぶらかす

こころ よじれて あながあく


【もとの詩】

防有鵲巢、邛有旨苕。

誰侜予美、心焉忉忉。


中唐有甓、邛有旨鷊。

誰侜予美、心焉惕惕。


【ひとこと】

なにこれ好き好きの好きのタイプ!


困ったことに何の比喩だかよく分からないらしいんですよ。だがそこが良い。この歌の詠まれた文脈の中で当事者が分かればそれで良いのだ。それがいいのだ。好き!


加えて押韻!絶句みたいに一句二句四句で踏んでいるのね!?ふぁぁぁ好き。いいよぉ、とってもいい。ああどのくらいいいのかダイレクトに理解できる人間でありたかった、ちょっと誰か発音してください。


うわぁ、引くくらいテンション上がってるんですよ。すごい、嬉しい。


ここしばらく体調ぐだぐだでさ、ゲームしても動画みてもなんとなく面白くなくて、しょんぼりして寝るみたいな感じだったんでさ、もうさ、なんだろうとても嬉しい。「〇〇なんてくだらない、あんなつまらないもの」みたいな言動はさ、酸っぱい葡萄の八つ当たり、多くの場合〇〇それ自体ではなく受け手が面白くないんだと思うんですよね。でもそれを認めるのってしんどいじゃないですか。それでさ、久しぶりに、世界はこんなにも面白いんだって感覚がさ、ああ!嬉しい!!ありがとう!!!


蛇足だけど「何の比喩か」みたいな話置いておくね。一説に讒言のことを指しており、時間をかけて構築される巣と伸び広がるエンドウの蔓、複雑な様相の敷き瓦と複雑な色彩の点々で構成されるモジズリソウらしいよ。


「沢山のピース」という意味でモザイク模様のしきがわらやモジズリソウが「一人ではなく複数人いる」ことを示唆しているのは分かるけど、モジズリソウ、ねぇ……しのぶもじずりたれゆえに。心乱れる描写でモジズリソウ出てくるの最高に好きだけど、ここでそれ出すと恋バナ要素強すぎになってしまいませんか。それはやりたいことじゃないんですよ……


それならむしろ話がこじれた比喩として別名のネジバナの方がふさわしかろうということで、詩中は字数や前後の繋がりからネジレバナとしました。


ああーーーいいもの読んだ。



追記:

好き好きの好きのやつだったので追加で調べた。ヒュー!解釈の幅よ!とりあえず「堤」が木の名前(しろにれ)だったり、「甓」が鳥(かいつぶり)だったりするのね?なるほど、歴史的にはこういう読まれ方をしていたよを先に押さえて、最近の研究ではこうだよを次に押さえるみたいな読み方が確かに便利ね?


仮に現代の学説から見て正しくなくても好みの幽霊が見られたのでヨシ!枯れ尾花をあつめてどストライクな幽霊を見るのだ!

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