第25話 騶虞(すうぐやすうぐ)

※「荒城の月」のリズムで


春 葦叢あしむらを うち囲み

一弓ひとゆみ引くや を五つ

うりんこありや 猪子いのこ

騶虞すうぐや騶虞 あ、射たり


春 蓬蓬ほうほうと よもぎはら

一弓引くや を五つ

妻子もありや の猪子

騶虞や騶虞 あ、射たり


【元の詩】

彼茁者葭 壹發五豝

于嗟乎 騶虞


彼茁者蓬 壹發五豵

于嗟乎 騶虞


【ひとこと】

 騶虞! 騶虞! イェーイ! 驍宗様見てる⁉︎ 蒿里とか名付けちゃう驍宗様(十二国記)が詩経や文選を読んでないはずがないんですよね。そう思うとさ、テンション爆上がりますね⁉︎ 嗚呼、いいね、このために詩経読んでるんだ俺は……。

 ところで……これ騶虞を讃えている歌なの? ん? 春は禁猟期では? という訳で解説書様方と決別して我が道を行きました。


(なお2022年日本の場合、原則狩猟は11月15日~2月15日でイノシシとシカについては三月中頃か末まで延長されてるようですね。なるほど増えすぎて大変なんですね。お疲れ様です)(無論、詩経のそれと現代日本の禁猟期を比べるのがナンセンスなのはいうまでもないことである。んなことは分かってるんだよ。分かってるけど気になっちゃったんだから仕方ない)


 詩は領主と側近の横暴を諌める歌という二次創作です(※つまり翻訳ではない。大事なことなので二度いう。これは気ままな創作である。翻訳ではない。)。

 

 表面上の言葉はめでたく、内容は……うふふ、明日は我が身よ。


蓬蓬ほうほう 草が生い茂る様。原に蓬蓬ほうほうよもぎが茂る。つまりただのギャグです。(※語源が同じものをギャグとは言わない、というようなツッコミがあれば歓迎する)

◯一弓引くや猪を五つ 矢は一組四矢なので壱発で四本放つことになるらしい。一矢で二匹とったのか、単に数が多いの意味か知らないが、元の意味では狩猟を補佐する騶虞官の働きが素晴らしいことを讃えているとされている(場合がある)。個人的には一網打尽とか一家全滅とか一族滅亡とかの印象を受けた。

◯あ、射たり つまり平家物語「扇の的」より「情けなし」を暗示したかった。つまり情け容赦のないことだの意味。知らなきゃ無理筋だけど「あ、射たり」だけで平家物語ヒットするんですよね。「荒城の月」の替え歌であることを合わせれば充分いける範囲と思っている、が、判断は読者にお任せします。

 というか「読めません無理」と言ってくれる人をこそ求めています。これをめでたい祝いの歌だと読んでくれる人が0人だったら、この歌は成立しないので。こういう捻くれた歌が好きです。

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