Wisdom Found

岩田珠立

第1章

これはフィクションであり、現実に有り得たかもしれない世界である。

時は2000年代電脳技術と工学技術が発達した世界。とある科学者2人によってその2つの技術が進歩した。人はスマホを持たず腕にリストバンドのような形をした機械で会話をしたり時間の確認をしている。車は鍵の代わりに持ち主の脳に埋め込められているナノチップでロックを解除出来る。そんな電脳技術と工学技術が発達した世界だ。人々いや世界はそれに『依存』している。


2002年01月25日9:45 南太平洋


ウィリアム大佐「今回の任務はデイビッド・A・ブルクの身柄拘束と核兵器の破壊だ」

「CIAの情報だとデイビッドは今テスタ・コルポという名前で活動しているらしい」

「場所は南太平洋にある謎の人工島。その島は人工衛星から観測出来ない未知の島だ。海兵隊からの情報だとその人工島には自然の木々が生い茂っていたそうだ。我々が知らない間にそこは大分前からあったと推測される」

「いいか?ジャック。本作戦は世界の命運がかかってると言っても過言ではない。」

「もし、作戦失敗となれば戦争は免れない」

「いいな?」


ジャック「ああ、分かってる」

「この作戦に失敗は許されない…」

「しかし、まさかあのデイビッドが生きていたとはな…」


ウィリアム大佐「そうか…」

「確か君は1度デイビッドとやり合っていたな」

「今更だが、何故『HEX』であった者同士戦ったんだ?」

「あの日君達に何があったんだ?」

「あの『平和なき負の遺産』で」


ジャック「それは俺も知りたいぐらいだ」

「あの時の奴は何処が様子が変だったことしか分からない」


ウィリアム大佐「…そうか」

「ジャック。君にとっては因縁の相手には変わり無いんだ」

「1度闘った相手だとしても油断はするなよ」

「この作戦に失敗という2文字は不要だ」


ジャック「ああ、分かってる」


隊員「目標地点(ポイント)に到着!」

「大佐!指示をお願いします!」


ウィリアム大佐「了解だ」

「よし、ジャック配置に着くんだ。これより作戦を開始するぞ」


大佐の合図で魚雷型ポットが発射する。計画通り事が進み、しばらく時間が経過した。島の沖に到着した。浜辺に降り立ち目標の島に着いたと報告する。


人工島浜辺


ジャック「大佐。無事目標(ターゲット)の島に辿り着いた」


ウィリアム大佐「OKだ」

「上手く行って良かったよ」

「そういえば、君のコードネームを言ってなかったな」


ジャック「コードネーム?」


ウィリアム大佐「ああ、何か問題でもあるか?」


ジャック「いや…」


ウィリアム大佐「?もしかして君はこの作戦の最中本名で動くつもりだったのか?」


ジャック「誰もそんな本名で動くとは言ってないだろう」

「どんな名前なのか気になっただけだ」


ウィリアム大佐「そうか、それは良かった」

「君のためにとっておきの名前を考えてきたからな」

「考えた甲斐があったよ」

「あと、なんと言ってもカッコイイからな。コードネームというのは」

「それだけでも気合いが入るというものだ」


ジャック「・・・」


ウィリアム大佐「ん"ん"」

「本作戦の君のコードネームはヴィルガだ」


ジャック「ヴィルガ…?」


ウィリアム大佐「由来は神話上の人物ギルガメッシュから取ってきた」


アッカド語でギルガメッシュはビルガメスと言うらしい。流石にギルガメッシュでは安直過ぎると思ったのかアッカド語に訳しこの「ヴィルガ」と言う名前になった。


ヴィルガ「ギルガメッシュ…神殺し(ヴィルガ)か」

「仲間と共に神を退治した人物」

「なかなか悪くない」


ウィリアム大佐「そうか、気に入ってくれて良かったよ」

「君が言うには『神に選ばれた異才達(HEX)』というのは、確か君を含め6人の天才が居たはずだ。今回のターゲットのデイビッドも同じだ」

「その6人のミドルネームにはそれぞれのアルファベットA~Fが入っている。それで順位を決めたんだっだな?」


ヴィルガ「ああ、そうだ」


ウィリアム大佐「順位が高ければ高いほど"神に最も近い存在"として能力が認められる」


ヴィルガ「ああ…」


ウィリアム大佐「そして、今回のターゲットのミドルネームはAだ」


ヴィルガ「・・・」


ウィリアム大佐「…そして君のミドルネームはFだ」

「こう言っちゃなんだがこの作戦はとても厳しい戦いになる。幾らヤツと君の戦闘技術が同じぐらいでも強敵には変わりない」

「それは君も自覚しているはずだ」

「それにデイビッドの下には『天資(dono dal cielo(ドゥノダチェロ)』という精鋭部隊がいる」


ヴィルガ「ドゥノ...?なんだそれは?」


ウィリアム大佐「天資(dono dal cielo)だ」

「イタリア語で天から授かった資(たから)という意味になるらしい」


ヴィルガ「まるで自分が神にでもなったかのような名前だな」


ウィリアム大佐「…話を戻すと。そのために我々4人のサポートを付けたんだ」

「君は電脳や工学には詳しく無いだろ?」

「それにテスタ・コルポがいるんだ。もしかしたら最先端の武器を使ってくるかもしれない」

「そこでだ。ヴィルガ、君に彼らを紹介しよう」


無線が変わる


ウィーバー「よう。俺は武器系統の専門家ウィーバーだ。よろしくな」

「あんたには説明しなくても良いと思うが。万が一何か分からない武器や道具があればいつでも無線をしてくれ。頑張れよ兄弟」


無線が変わる


エミュ「ん"ん"。私は電脳技術・工学技術の専門家エミュよ。よろしくね」

「大佐からは聞いてるわ。電脳や見たことの無い機械があればいつでも聞いて。応援してる」


無線が変わる


ヘレン「えっと、私は医療専門のヘレンよ」

「私はあなたの体に埋め込められてるナノチップで身体の状態や体調を管理してるわ。何か身体に異変が起きたら無線して」

「それとあと私が記録係を担当するわ。記録したい時があればいつでも無線してね。それじゃ頑張って!!」


無線が変わる


ウィリアム大佐「以上の3名だ。自分一人で頑張ろうとするなよ」

「私も君の進行のサポートをする。何をすればいいか分からなくなったら私に無線をしてくれ」


以上各3名の紹介が終わり最後に大佐の仕事内容を伝える。


ヴィルガ「ああ、分かった」

「それでは作戦を開始する」


浜辺から森林部に向かいテスタ・コルポの情報を掴むため移動した。しかし、そこには敵兵士達が警備巡回していた。ここで独断の行動で動いてしまうとこの作戦に支障が出る恐れがあるため、大佐にどう対処するか無線をとった。


ヴィルガ「大佐、武器を持った兵士がいる。どうする?」


ウィリアム大佐「そうだな...あまり目立ちたくは無いな。ここは隠密に済ませよう」

「武器はちゃんと装備してるか?」


ヴィルガ「ああ、もちろんだ」


ウィリアム大佐「もし、やむを得ない時は使うといい」


ヴィルガ「了解だ。しかし武器の扱いが分からない」


ウィリアム大佐「なんだと!?」


ヴィルガ「違う。初心に帰るのも良いと思ったんだ」

「教えてくれないか?」


ウィリアム大佐「あーなるほど。OKだ」

「では、武器専門のウィーバーに任せよう」


ヴィルガ「ああ、頼む」


ウィーバー「了解だ。大佐」

「あんたのその初心を忘れない気持ち最高にイカしてるぜ!これは銃達も喜んでるだろうな!!」


ウィーバー「まず武器だが太もも、腰、背中のガンホルダーに取り付けてくれ。太もものはHG用だ。RVも入るぞ。腰のガンホルダーはARやSGが取り付けれる優れ物だ。そして背中のガンホルダーはLMGやSRなんかを装備できるぞ」

「次は携行品だ。携行品は左の4つのポーチに入れる事が出来る。しかし数には限りがあるんだ」

「これはゲームじゃないからな無限には入れられない」

「次は武器の扱いについてだな。銃を構える時は少し前傾姿勢を取るんだ。前に重心を保てば銃の反動を抑えられるぞ」

「撃つ時だがトリガーを引く時は指の腹で引くのが基本だ。誤って指先や関節でトリガーを引くんじゃないぞ?照準がブレる」

「最後に、マガジン交換についてだ。腰のベルトに予備マガジンを装備しているよな。掌をマガジンボトムに押し付けマガジンをしっかり握る。そして人差し指をマガジンの前面に置くんだ」

「これで良かったか?ヴィルガ」


ヴィルガ「ああ、助かった」

「戦場の勘を取り戻せそうだ」


ウィーバー「そうか、そりゃ良かった」

「んじゃ頑張ってな!」


ヴィルガ「言われなくてもな」

「作戦に戻る」


森林を進んでいくととあるモノを目にした。ヴィルガはそのモノを見て驚くのであった。


ヴィルガ「!?」


それは街と呼べる市街地が広がっていた。こんな未知の人工島に市街地があるとは到底思えないだろう。が、それは確かに目の前にあるのだ。そんな意味のわからない街を見てヴィルガはとっさに大佐と無線をとった。


ヴィルガ「大佐。こんな人工島に街があるぞ…」


大佐「…」

「おそらくテスタ・コルポが計画の一環で作ったのだろう」


ヴィルガ「しかし、何故また街を作ったんだ。それに民間人も居るぞ」


大佐「んー、何らかの理由があるんだろう」

「そうだな。街に忍び込んでテスタ・コルポの情報を集めてみるとしよう。出来る限り目立つ行動は避けるんだ」


大佐にもテスタ・コルポの計画には意味不明であった。しかし、今はそんな事を考えている暇は無い。こちらはこちらの動きをする為、まずはその街でテスタ・コルポもといデイビッドの情報を集めることにした。


ヴィルガ「了解だ」


街で民間人からテスタ・コルポの情報を聞き出そうとしたが、こちらの質問には見向きもせず通りを歩いている。断念しようとしたその瞬間とある白衣を着た青年がこちらにやってきた。


ヴィルガ(?なんだ?)

(白衣を来たヤツがいるな...)

(どうしてこんな所に?)


白衣の男「テスタ・コルポが来てから…」


ヴィルガ(!?)

(今テスタ・コルポと言ったか?!)

(後を追うべきか大佐と話し合うか)


無線をとる


ヴィルガ「大佐。怪しい白衣の男を見つけた」

「それにテスタ・コルポと呟いていた」

「もしかしたらテスタ・コルポの情報を知っているかもしれない」


大佐「ちょっと待った」


ヴィルガ「どうしたんだ大佐?急に」


大佐「ヴィルガもしかしてそいつは…そうだ!シャハト博士じゃないか?」


ヴィルガ「何故分かるんだ?」


大佐「ああ、それはだな」

「君のナノチップを介してこちらと情報を共有しているんだ」

「今君が見ている光景や聞いている音をリアルタイムでこちらも確認している」

「その場に居なくとも君の置かれている状況が分かるというわけだ」


ヴィルガ「なるほど…」

「今の軍事技術は凄いんだな」

「ところで大佐。そのシャハト?博士と知り合いなのか?」

ヴィルガはあまりその手の話には興味がないため、大佐に知り合いかどうか聞く。


大佐「知り合いというわけではないがシャハト博士という男はこの時代を作った科学者の2人のうち1人だよ」

「ノーベル化学賞を受賞している」


ヴィルガ「それは凄いな」

「しかし、どうしてそんなヤツがここに居るんだ?」


大佐「分からない…がもしかしたらテスタ・コルポと関係しているかもしれない」


ヴィルガ「どうしてそう思うんだ?」

どうしてそう思うか聞くヴィルガ。


大佐「実はシャハト博士は数ヶ月前から行方不明者として報じられていたんだ。突然姿を消したとか」

「おかしいと思わないか?テスタ・コルポが居る人工島にその行方不明者が居るというのは」


ヴィルガ「確かに。何か関係しているかもな」


大佐「そうだろ?」

「だからヴィルガ。気付かれずにシャハト博士と接触してくれ」


ヴィルガ「了解だ」


偶然にもそのシャハト博士は人気のない場所に入っていった。この好機を逃すヴィルガではないのですぐさま人気のない場所まで後を着いていく。ようやくシャハト博士は歩みを止め壁にもたれかかった。


シャハト博士「久しぶりの外の空気だぁ!!」

「けど、何で外出許可が出たんだろう?」


ヴィルガ「おい、そこの白衣を着た男少し話をしないか?」


シャハト博士「!?これは!?」

「ってあれ?君のその格好…」

「もしかしてここの人じゃない?…」

「良かったぁ」


ヴィルガ「すまないが…少し話をだな」


シャハト博士「あ、ああ。ごめんごめん」

「話ってなんだい?」


ヴィルガ「デイ…テスタ・コルポについて話がしたいんだが」


シャハト博士「テスタ・コルポだって!?」

「なんで君がテスタ・コルポを知っているんだい?!」


ヴィルガ「さっき君がぶつぶつ呟いてるのが聞こえてな」

「まさか君の口からテスタ・コルポという名前が出てくるとは思わなかったよ」

「それで君の後をついてきたって訳だ」


シャハト博士「なる…ほど」


ヴィルガ「率直に言うが」

「俺はテスタ・コルポの計画を阻止しに来た」


シャハト博士「え?君1人だけでかい?」


ヴィルガ「そうだが?」

「何か問題があるのか?」


シャハト博士「問題大アリだよ!軍で調べたかもしれないけどテスタ・コルポという男は『HEX(呪い持ち)』だ。しかもミドルネームにAが入ってる」

「そんな化け物を君一人で止められるはずが無いよ…」


ヴィルガ「アンタ『HEX(呪い持ち)』に詳しいんだな」


シャハト博士「まあね…」

「・・・?君もしかして?いや、でも…」


ヴィルガ「どうしたんだ?」


シャハト博士「思い出した!ジャック・F・エバースだ!?」


ヴィルガ「!?何故俺の名前を!?」[銃向ける]


シャハト博士「し、調べたんだ『神に選ばれた異才達(HEX)』を。あとその瞳テスタ・コルポと同じだ。でも君のミドルネームはFだろ…。ん?待てよ?ひょっとしたら…」


ヴィルガ「なんだ?」


シャハト博士「もしかしたら止めれるかもしれない…」[小声]


ヴィルガ「急にどうしたんだ?」


シャハト博士「ごめんごめん」

「ねえ、君と連絡を取りたいんだけど良いかな?」

「君と僕の目的は同じなんだ。だから協力したいと思ってね」


ヴィルガ「ああ、いい提案だと思うが」

「少し時間をくれないか?」


「?良いよ」


無線を取る


ヴィルガ「大佐。無事シャハト博士と接触した」


大佐「OKだ。こちらからも確認出来ている」


ヴィルガ「そうか、なら話が早いな」

「大佐。このシャハト博士と連絡を取っても良いと思うか?」


大佐「そうだな…」

「もしかしたらテスタ・コルポの居場所を知っているかもしれない。核兵器の場所もな」

「・・・」

「ヴィルガ。シャハト博士と連絡を取った方が色々と都合が良いかもしれん。こちらにもメリットがあるように交渉しよう」


ヴィルガ「ああ、了解だ」


無線を切る


ヴィルガ「シャハトと言ったな?」


シャハト博士「そうだけど…どうだった?」

少し不安げなシャハト博士。


ヴィルガ「アンタと連絡をとろうと思ってな」


シャハト博士「ほんとかい!?じゃあさっそくーー」


ヴィルガ「ただし!」


シャハト博士「!?」



ヴィルガ「こちらにも情報を共有して貰うぞ。俺はこの地図にも載っていない人工島を詳しく知らないんだ」

「そこでだ。俺はテスタ・コルポの計画を止める。アンタは俺にこの島の情報を教える。人や街についてもだ」

「その条件の上で連絡を取ろう」


シャハト博士「なんだ…そんな事かぁ」

「全然良いよ。むしろこっちが協力したいくらいだ!」

「この島の…『ディアンシ』の情報を全て教えるよ!」

「この世界の命運が掛かってるんだからね!」

「あと、姉さんの為にも…」[小声]


ヴィルガ「?…OKだ。じゃあ交渉成立だな」

「俺の名前(コードネー厶)なんだが」

「ヴィルガって呼んでくれ」


シャハト博士「?…あー!OKだよ!ヴィルガ」

「改めて、僕の名前はシャハト。シャハト・ローレンスだ。スウィット(甘美)って呼んで」


最初は疑問が浮かんだが、場合が場合だったため状況をすぐ飲み込んだシャハト。自分もその一員だと思ったのかシャハトのあだ名「スウィット」という名前で呼んで欲しいと答えた。


ヴィルガ「ああ、よろしくな。スウィット」

「早速だが。テスタ・コルポの居場所を知りたい」


スウィット「いいよ。テスタ・コルポはこの島の中心部に居るんだ」

「あそこに大きい建物が見えるだろ?」

「そこで実験や核兵器の調整をしているんだ」

「っと。そういえば連絡を取るんだったね」

「少し待ってね」

シャハトはそう言いながら手元でナニか動かしている。傍から見たらまるでパントマイムをしているような事をしている。

「よしこれで良いね」

「今から君のチップに送るね」


ヴィルガの頭の方にそのナニかをそっと押すような素振りをした。その瞬間ヴィルガの視界の中にシャハトのコード?の様なものが見えた。


ヴィルガ「これはなんだ?!」

「何をしたんだ!?」


スウィット「あーこれは僕と姉さんで作った連絡ツールみたいなものさ。他にも色んな機能はあるんだけど」

「その名もインディグレ・リーバー」

「意味は現実世界と電脳世界の統合だよ」

「とりあえず、これを使って送っているんだ」

するとスウィットの手元からホログラム?のような物が出てきた。


ヴィルガ「・・・」

何が何だが全く理解出来ないヴィルガ。


スウィット「最初はこんなモノは見えないよ」

「これは僕達姉弟しか管理してないからね」

「認めた人にしか渡していないんだ」


ヴィルガ「な、なるほど…」

「しかし、これでどう連絡とるんだ?」


スウィット「百聞は一見にしかずって言うからね」

「試し心の中でスウィットに無線って思ってご覧?」


ヴィル「あ、ああ」

(スウィットに無線)

(これで上手く無線出来るのか?)


スウィット(それが出来てしまうんだよ。ヴィルガ君)


ヴィルガ(!?)


スウィット(そう念じれば連絡が出来るんだ。言わばテレパシーみたいなものだね。外部にも聞かれる心配もないしね)

「こうやって会話しながらでも」(繋がったままなんだ)

(あとこれは、君の無線の人達にも使えるよ)

(ゲームみたいなご都合は一切ないよ)

(これは君のチップ以外にも無線にも干渉出来るんだ。機械で出来た物だったら全てに適用されるんだ)

(けど、ジャミング機能が搭載されている物には使えないんだ)

(最後にこのインディグレ・リーバーは僕達姉弟にしか他者に共有することは出来ないよ)

(無闇に渡されたら困るからね)

(無線を切りたい時は終わりたい切りたいで念じれば切れるよ)


ヴィルガ「これは凄いな…」


スウィット「ふふ、もっと褒めてくれてもいいんだよ!」

「これは僕が発明したのさ!!姉さんにはこのIR(インディグレ・リーバー)の調整をしてもらってこれが完成したんだ!」

「凄いでしょ!!」



ヴィルガ「あ、ああ凄いな。よく出来てる」

「しかし、あれだな君は大分キャラが変わるんだな」


スウィット「ああ、ごめんごめん。取り乱しちゃったね」


ヴィルガ「・・・」

「そういえば、君はこれからどうするんだ?」


スウィット「そうだね、僕は一旦基地に戻るよ」

「報告したい人が居るんだ」


ヴィルガ「!誰だそいつは?」


スウィット「違うよ!僕の姉さんに報告したいんだ」

「「ようやくここから抜け出せるよ」って」


ヴィルガ「そうか」


スウィット「ヴィルガ…その…いいかな?」


ヴィルガ「どうした?」


スウィット「・・・」

「姉さんを助けて欲しいんだ」


ヴィルガ「捕まってるのか?」


スウィット「ううん、捕まってるというか隔離されているんだ。逃げられないように」

「そこで姉さんは日々研究や実験をさせられている」

「いいかな?ヴィルガ」


ヴィルガ「…仕方ない。その依頼も込みでやろう」

「だがスウィット。その分の働きをしてくれるんだったらな」


スウィット「!?ありがとう!ヴィルガ!」

「僕頑張るよ!!」

「それじゃ、早速」

「テスタ・コルポのデータを送っておくよ。そこに姉さんも居るはずだ」


ヴィルガ「ああ、助かる」


スウィット「頑張ってね!ヴィルガ」

「僕全力でサポートするよ!」


ヴィルガ「OKだ」

「それでは作戦を再開する」


人気のない場所から離れスウィットから得たデータを元にテスタ・コルポの居場所に向かうヴィルガ。しかし、その道中に今までの敵兵士とは違う雰囲気を持つ男に遭遇したのであった。


街の北門にて


ヴィルガ(なんだ?1人だけ今までの兵士とは違うな)

(?…もしやあれが大佐が言っていた『天資(dono dal cielo)』か?)

(大佐に聞いてみるか)


無線をとる


ヴィルガ「大佐。あれがテスタ・コルポ率いる『天資(dono dal cielo)』か?」


大佐「ああ、そうだ」

「あの男の名はポルソ・オッキオ」

「どうやらテスタ・コルポの右腕らしい」


ヴィルガ「なに?アイツの右腕だと!?」


大佐「そうだ。ここは戦闘を避けた方がいい」

「他のルートもあるはずだ。スウィットから貰ったデータを元に進行してくれ」


ヴィルガ「ああ、分かった」

(アイツの右腕だと…)


北門から迂回し別の道からディアンシ島の中心部に進むヴィルガ。敵兵士の警備を難なくすり抜けていった。島の中心部に向かうため森林部に潜り込んだ。中心になるにつれ警備体制はより一層厳重になっており少し骨が折れる。そこでヴィルガの目の前いや進行方向にとある男が待ち構えていた。


ヴィルガ「!?」

「誰だ!!」[大声]


ポルソ「俺か?俺はポルソ・オッキオだ!」[大声]

「なにやら妙な気配がしてな!」[大声]

「姿を現せ!」[大声]


ヴィルガ(まずいな)

(ここで姿を現したら戦闘は避けられない)

(大人しく退くべきか?)


大佐「その男はポルソ・オッキオ」[思い出す]

「どうやらテスタ・コルポの右腕らしい」[思い出す]


ヴィルガ(あいつ(デイビッド)の右腕か...気になるな)

(少し試して見るか)


姿を現す


ヴィルガ「悪いな!少し道に迷ってしまってな!」[大声]

「家に帰ーー」


バアァンッ[銃声]


ポルソ「ハハッ!こんな所に遭難者が居ると思うか?」

[大声]

「とんだマヌケな遭難者だ!」[大声]

「お前は門をくぐる際にIDを提示したか?」[大声]

「お前のようなマヌケな男のIDは確認されていない!」[大声]

「よってお前を射殺する!」[大声]


ポルソ・オッキオ戦 開始

ポルソ・オッキオ戦 終了


ポルソ「なかなかやるじゃないか?」

「軍の者か?」


ヴィルガ「さあな!」

バァンッ![銃声]


ポルソ「ぐはッ!…」

「ぐっ…。?…よく見たらお前」

「『HEXの落ちこぼれ(Faileder)』じゃないか」


ヴィルガ「流石はテスタ・コルポ(デイビッド)の右腕だ」

「よく知っているな」

バァンッ![銃声]


ポルソ「おっと!?」[避ける]

「流石に『HEXの落ちこぼれ(Faileder)』といえど侮れないな」

「まあいい。私にはまだ"やるべきこと"があるからな」

「ここは大人しく退くとしよう」

「じゃあな。ジャック・F・エバース!」

「レヒトラオート!!」[さよなら意]


ヴィルガ(?…ヘブライ語?)

(イスラエルの人種か?)

(いや、まずは大佐に報告するべきだ)


無線をとる


ヴィルガ「大佐。ポルソ・オッキオと接触してしまった」


大佐「ヴィルガ……まあ仕方ない」

「我々の存在がバレた以上、敵は警戒態勢に入るだろう」

「この任務だが…極めて困難を要する事になる」

「くれぐれも見つからないよう行動してくれ」


ヴィルガ「すまない…」


無線を切りポルソ・オッキオが退いた方向に目をやる。


ヴィルガ「あいつがデイビッドの右腕か...」

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