第41話 テンプレ?



「あ、ノアも終わった?」

「ああ、今見直しが終わったところだ。なぁ、そういえばジオのスキルツリー聞いてなかったわ」

「ん?そう言えば言ってなかったね。僕は『氷剣士』だよ」

「やっぱ剣系だったか。でも、『氷』ってつくぐらいにはなんか捻りがあるんだろ?」

「『〜剣士』系のスキルはいわば魔法剣士なんだ。氷や炎、風や地、いろいろな属性があって、そのスキルツリーのスキルは剣術とその属性の魔法が両方使えるようになるんだ」

「おぉー便利そうだな。いいなぁ〜そもそも俺は腐るほど魔力があるのに魔法が使えない。世界は理不尽だ!」

「そ、そうなのかな?」


 ジオが苦笑しながら答えてきた。


 そりゃ理不尽だろ。魔力がないわけでもないのにスキルツリーがないからファンタジー定番の魔法が使えないんだ。怒ってもいいだろ?


「と、とりあえず。書類出そうか」


 それもそうだな。


 受付娘さんに書類を渡すと、ざっと目を通してからカードを発行しに行くと言って奥に引っ込んでいき、手の空いた俺とジオはとりあえず冒険者協会の端っこに移動して雑談することにした。もちろん、まだ他の冒険者たちから絶賛睨まれ中だ。


 なんだかんだ言ってジオと会って1日も経っていない。初の対人戦だったり、異世界初の街に行ったりとか色々あって、とても濃い1日だったけど。ここでもう少しジオについて知っておきたいし、今後について考えておきたい。あっちも同じだろう。


「それでさ、ジオ。これから一緒にパーティーを組むことになると思うが、とりあえずの目標はC級でいいな」

「うん、国境を渡ることが最優先だからね。できるだけ速く、でね」

「ああ、それに関してだな大体の目標が三週間だ。三週間でC級に上がる」


 俺たちの話を聞いてたのか、周りの冒険者たちがどっと笑いだした。


 何がおかしいんだよ


「え?C級になるには速くても一年ぐらいかかるよ。三週間なんてそんな無理な目標を掲げても……」

「そんなに無謀か?さっき依頼掲示板を見たときC級の討伐依頼はグレーウルフとかオークとかだろ。まだまだ弱いって。いけるいける!それに––––」

「おっと、今のは聞き捨てならんな」

「は?」


 なんだよまた。今日二回目だぞ、見知らぬ人間に話遮られるの。あ!これってもしかして、テンプレなヤツ?


「なんですか?人が話してるところを遮るように話しかけてきて?そんなに大切なことには聞こえませんでしたが?」

「ああん?誰に口聞いてると思ってんだ?うるっせぇな。お前さっきグレーウルフとかオークとかを弱いって言ったろ」

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