第12話 ちょっとした問題


 これなら神殺しも楽しめそうだな……。


 口から一筋の血を流しながら俺は笑った。それは愉快に、とてもとても愉快に。


「レベルが1073に上がりました。」

「完全再生ツリーのスキルレベルが上がりました。スキル『高速再生』を獲得しました」

「『剣術』がレベル3に上がりました」

「『我流剣術』がレベル2に上がりました」


「ゴフッ……いてててて」


 上半身から刀を抜きながら俺はアナウンスを聞きステータスを確認した。


「ステータス」




榎本乃亜(種族:人間)

 レベル:1073

 ・能力値

  筋力:1771

  俊敏:1717

  物理耐性:1159

  魔法耐性:1180

  魔力:8691/8691

  知力:1749


 ・スキルツリー

 『狂人』:レベル1

  レベル1:2倍返し

  レベル2:捨身攻撃

  レベル3:発狂2/10


 『完全再生』:レベル1

  レベル1:低速再生

  レベル2:通速再生

  レベル3:高速再生1/10

  高速再生:絶命しない限り、どんな傷でも再生する。回復速度はハイヒールより少し速い。


 ・通常スキル

 『剣術』:レベル3

 『我流剣術』:レベル2




 うん、なんかもう、慣れた。


 女神から受けた講座で習ったことを考えれば俺は、成長率が高いとされている異世界人だという点を考慮しても、ものすごいスピードでレベルアップしてる。


 そんな侍オーガのウマさで麻痺してしまった経験値感覚があとあと足を引っ張らなければいいが……


 もちろん、ステータスが上がるのは素晴らしい。


 だけど、ゲームと同じで上がりすぎるとつまらなくなる。特に、戦闘を楽しみたいなら問題だ。

 

 例えば、今回上がった『完全再生』。新しく手に入れたスキルは『高速再生』だ。


 そして、スキル説明にあるハイヒール。これは並みの術師が辿り着ける最上位の回復魔法だったはずだ。


 つまり……『高速再生』ってもう死なないんじゃない?


 死ねないということは、祝福であって呪いでもある。


 おかげで戦闘時の緊張感が和らいでしまうし、ハラハラドキドキもしない。


「おっと」


 気が緩んだのか、力が抜けて一瞬倒れそうになったのを気合で防ぐ。


「アドレナリンが切れちまったか」


 まぁ、今思えば、いろいろあった一日だった。疲れても仕方ないだろう。


 一番近かったオーガ製の小屋に倒れこむように入っていった。

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