第4話 あ、は、は

丘を下ってしばらく進んだ先には大きな街があった。


「私たちは街へは戻れないから、ちょっとお遣いに行って欲しいのよ。

で、街でさ、おまじない、よろしくね」


いたずらっぽく微笑むヴィミルに見送られ、セラは一人、街へと向かった。


「ふ、ふ、お姉様ったら、変なおまじないなんか」


言いながら胸元に下げた指輪を握りしめ、大好きなヴィミルとの秘密の悪さに、幼い心がおどるものもあった。


大きな街に驚きながらも、人々の往来を必死にすり抜け、言いつかった布地や日用品などをなんとか手に入れたセラは、道中、幼く可愛らしいいたずらを繰り返した。


始める前からこらえきれない笑みを堪え指輪を付け、家の前にき集められた落ち葉を足先でそっと散らしてみたり、飼い犬の縄をほどいてみたり、露店の果物を地面に落としてみたり、屋台で食事中の紳士の背中にわずかなソースをこぼしてみたり。


そして大急ぎで街を飛び出し、あ、は、は、と大きな声を響かせながら、丘を駆け上がった。


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