第16話
アサヒに包丁がよく似合う。
どうせならウェディングドレスが似合ってほしいものだ。
かわいい顔によく似合うはずだ。
だがそんなかわいい顔もとても見れない。
獲物の金属光沢がギラリと睨む。
「もう!コウ君何も分かってないんだね!」
アサヒがかわいい顔で俺の顔を覗き込んできた?
「私の予定じゃ久しぶりにイチャイチャラブラブえっちするつもりだったの!」
「それなのにコウ君は!焦らされたからってキスだけで失神&射精なんて!もー!そりゃないよ!」
顔を赤らめてぷんぷん怒ってる…?じゃあそんなに本気で怒ってなかったのか!?
「あ、アサヒ…俺を殺すつもりじゃなかったのか?」
「んえ?そりゃ怒るけど何も殺すなんて…」
「だ、だって…包丁もって…」
「ん?あー、確かに危なかったね、気付かなかったね」
「や、やめてくれよ…俺包丁恐怖症なんだから…アサヒの母さんには刺されるし足元に刺さりかけるし…」
「あー!そうだね!ごめんごめん、もうトラウマになっちゃってるのか」
「って!なんで私が謝ってるのさ!!私の方が被害者なんだからね!!!!」
「コウ君が意識を失ったせいで私はコウ君と違って勃起したまま一人でお預け食らってたんだから!!もう!コウ君も射精管理して同じ気持ち味合わせるゾ!」
頬を膨らませプンプンと怒る顔はとてもかわいかったが、彼女の発言は本当にその邪悪な行動を実行しかねない凄みがあった。
「それは…ごめんなさい…」
「それだけじゃないんだから!コウ君がパンツ履いたまま射精したもんだからコウ君の股間(おくちで)洗って着替えさせてあげたんだから!!!!」
「うぉ!ズボンが変わってる!!ありがとう!!」
「もういい時間だからって思ってコウ君と私の分のお昼ごはん作ってたの!」
「うわぁ!!ほんとにありがとう!いたれりつくせりだ!!!」
「…」
「…何?」
「いや…本当にお嫁さんになってくれたらいいのにな…って思っただけ、そしたらどれだけ幸せなんだろうって」
「もう…コウ君…」
あ、そういえば前にも同じこと言って…お婿さんだって訂正されたんだった、女の子扱いしたから怒るかな…
「今言ったこと、絶対忘れないでね♪18歳まで待ってるから!その時にまた同じこと言ってよね!私信じて待ってるから!」
「…」
「そう…だな!そうだったな!もうアサヒは女の子なんだ!お嫁さんで間違ってないんだった!!!」
「もう、なに変なこと言ってるのー?ほらほら、ごはん食べちゃお?」
「うん!」
アサヒの手を借りて立ち上がろうと手を伸ばす。
アサヒはバカだからそのまま包丁を持ってた手を開き
コウの手を取ろうとした。
ザクッ!!!!
瞳孔の開いた目で刺さった場所を確認すると包丁が太ももの内側に刺さっていた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!」
「足刺さったあ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「おちおちおちおちおちおちおちついて!!!ほら!よくみて!刺さってないから!服!服服服服に刺さってるだけだから!!!!」
「ちゃんと見て!足見て!刺さってない!見て!!」
「見れない見れない見れない見れない!!!」
「大丈夫だから!大丈夫だから!!大丈夫だから!!!」
「包丁…あひゅぅ…」
ああ…視界がホワイトアウトしていく…あー…だめだ力入んねぇまーた気絶…むぐぉ!!!
「ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”!!!!!!!!」
キス!?キスキス!?キスされてるぃうぅぅぅ
アサヒに無理やり唾飲まされてる!!おいしい!!!あまい”!!!!!きもちいいいいい!!!!!
「んぷはぁ!!もう!また気絶しようとしたでしょ!!!!そうはさせないんだから!!」
「あぁ…アサヒぃ…」
「うるさい!!コウ君が気絶したら何も始まらないの!それに今作ってるのおうどんだから伸びちゃうでしょ!!!コウ君だけ伸びる分には困らないけどおうどんは伸びたら困るの!
できるまでこっち座って待ってて!!」
ソファの上で毛布に包まるコウにキッチンから話しかける。
「どう?コウ君落ち着いた?」
「あぁ…パッツパツのデニムごしのいいケツ見てたら大分な」
「そんないいケツとデキるチャンスをコウ君は逃したんだよっと、はいおうどん」
「消化にいいものが適切かなって、薄味になれてただろうし出汁は濃い味にしたよ」
「アサヒの出汁が入ってるとかか?」
「もう!だから言ってるでしょ?私はもう女の子になったんだからそーゆーのはもうしないよ」
「この怪しさ満点の山盛りとろろはアサヒの精子か?」
「ちがいますー精をつけてもらうために大盛にしたんですー」
「そうかい、そりゃ疑って申し訳ないですねーっと…」
「…なんで私のおうどんと交換したの?」
「え?信用ないから」
「あーあーあー、そうですかそうですか!」
「そんな不貞腐れるなって、さて、こんなアサヒな思想を持ったアサヒになにか変なことされる前にいただきますと」
「そっか、ちなみに利き腕が折れてるのにどうやって食べるつもりだったの?」
「…」
「ばーか♡」
「こんのメスガキャァ…」
「ほらほら、あーんしてあげるから、はいあーん♪」
あ、普通においしい
そういえばアサヒってめっちゃ料理上手いんだったな、あー…お嫁さん特化型だなー
「それで?コウ君、これからどうする?」
「ん?」
コウの口に運んで自分の口に運んでを交互に繰り返すアサヒを見つめる。
ああ、だから箸一膳しか出してなかったのか。
てっきり俺の箸パクられたかと思った。
「ほら、こんな雨降りの中じゃ何が入ってるか知らないけどそれなりに荷物あったじゃん?なかなか大変だと思うけど」
「そうだなー…じゃあ雨が止むまで俺の家で時間つぶしてから行くか、なーにとおり雨だろう」
「止むまでしばらく帰らない家のタメにやることやっておこう」
「あ、洗い物は流石にやっておくよ」
「へー、こうやって食べるのも私に手伝ってもらってるのに?」
「…そうだった」
「はい、あーん♡」
「あむ…むぐ…むぐ…」
「そんなに気を使わなくてもいいよ、これからしばらくそんな生活が当たり前になるんだから」
「でもな…そんなこと言ったら家事の何から何までアサヒにやってもらうことになっちまうじゃないか」
「いいのいいの!コウ君はもう私のために肉棒になってくれれば!」
「十分それでおつりがくるくらいの働きだよ!だからゆっくり休んでて、もとはと言えば私のせいだし!なんならヒモになってくれてもいいんだからね!」
「はぁ…先が思いやられるな…」
「あーん♡」
「アサヒ…ごはん、おいしい」
「ありがと♡作った甲斐があったね!」
「いやぁ…ほんとに感謝してもしきれないよ、さっきも俺の射精の後始末をしてくれてたみたいだしな」
「そんな気にしないでよ」
「そうかい…ふぅ、ご馳走様」
「あ、そうだコウ君」
「?」
「さっき私がコウ君のおうどんになにか入れたんじゃないかって心配して食器取り替えてたじゃん?」
「?うん」
「実はね、わたしコウ君に疑われるようなら体液飲んでもらおうと思ってね」
「コウ君に渡した器には何も入れなかったんだけど、私の器には私の精液が入ってたんだよ!」
「…読まれてたのか」
「コウ君の想像通りとろろに紛れ込ませておいたんだ!」
「全部食った後に言いやがって…」
「も~コウ君ったら酷いよー!わたしの事全然信じてないじゃん!」
「傷ついちゃうゾ♡」
「クソ…アサヒに行動読まれてたとは…」
「むほほ~コウ君はホントにわかりやすいなぁ~!!むほほ!むほほ!」
「信用されないのそういうところだぞ!」
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