14.入隊

 会議室は大広間だ。隊の番号順に上座から座っていく。俺は佐野隊長の後ろに座った。奥にいるのが総隊長。その横は書記。居並ぶお偉方を佐野隊長が説明してくれる。いくつか鋭い眼光がこっちを向いている。怖い。


 「隊長会を始める」


 総隊長が促すと何故か8番隊隊長から現状報告。番号順に恙無く進み佐野隊長の番が来た。


 「最近鬼道の発生が増えています。あと、後ろの彼が討鬼士の資格あるので11番隊に入隊させます。以上」


 ざわつく気配がするが誰も声は発しなかった。え、これだけ?そのまま報告は続く。


 「全地区で鬼道の増加が確認された。今後も注視し、異常があればすぐ報告すること。新隊士の手続きは忘れずにするように。次に……。」


 「隊長会終了とする」


 総隊長が総括し解散となった。次々と隊長達が席を立つ。俺達も会議室を後にした。ふ〜。一安心。


 「ソレについては話が無かったが。どういうつもりなのじゃ」


  小塚隊長が声を掛けてきた。ひぃ。


 「ソレに関しては僕としても今後の課題といった状況でね。まだ説明できる段階ではないから報告は次回以降にする予定だよ」


 「フン。小僧に鬼が宿っている事くらいは言うべきではなかったのかのう!」


 「よく気付いたね。普段の彼は鬼気がほとんど感じない。知っている僕でさえ注意しないとわからないくらいだ」


 「わからいでか!鬼畜生の嫌な匂いがプンプンしておるわ」


 小塚隊長が顔をしかめている。俺は臭いのか。ショックだ。


 「獣の嗅覚というやつか。ふむ。彼の中の鬼は妖に特に反応していない。あの事件には関係無いのかもしれない。何かわかったら直ぐに報告するから、今は見逃してくれないかい?」


 しばし2人で静かに向かい合うが、小塚隊長がくるりと背を向け行ってしまった。


 彼女にもいろいろあってね。と肩を竦めながら佐野隊長が言う。今度こそ一安心かな。一息吐き出して帰路を急ごうとすると、また声を掛けられた。


 「やあやあ!鬼の憑依とは珍しい。詳しく調べさせてくれないかい!」


 もう、勘弁してください。泣きそうだ。

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