初恋の・・・
風凪 颯音
超絶短編です
初恋の
初恋。それは、人生において初めて誰かに恋心を抱くという事象だ。
めでたく成就する恋、儚くも散りゆく恋。様々な結果に変わっていき、だれも予測はできないものだ。自分自身であっても。
「ずっと前から好きでした!…なーんて、言われてみてぇよなぁ…」
額の汗を拭って、横を歩く啓介にぼやく。
「まだそんなのに憧れてるのか」
タオルで汗を拭い、啓介がハハと笑う。真っ白な歯がキラリと口から覗く。
太陽が照り付ける夏季休暇前最終登校日、学校帰りの下り坂を、俺は小学校来の友人と歩いていた。
「憧れるさ!!夏休み目前に告白される!そして夏中は祭り!プール!夢色パラダイスの・・・はずだったのになァ」
「そうか・・・」
「しかもよ?それが初恋だった!…なんてシチュエーションだったらさ、完璧なのになァ」
がっくり肩を落としながら力説する。チラリと横を見ると、啓介の奴は興味がないのか頬を掻きながらそっぽを向いている。
「なぁ」
ふと、前を歩く啓介が立ち止まって振り返る。それに合わせて俺も立ち止まる。
「どったん?」
「実はな」
「なんだよ」
「俺な、お前の事がさ…ずっと前から…な…」
あの夏、俺の頬が熱かったのは、太陽のせいだけではなかったハズだ。
初恋の・・・ 風凪 颯音 @komadenx
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